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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年4月25日

(出典:JAXA)

昨日は終日、船外活動に関する訓練がありました。

ジョンソン宇宙センターにあるISSのエアロックのモックアップを使用して、船外活動当日の準備から船外活動後の作業を確認しました。
私とケイトが船外活動クルー役、他にペギー・ウィットソン飛行士が支援クルー役として訓練に参加しました。

訓練を終えての感想は、まず1回の船外活動を実施する為に必要な事前準備や実施後のクリーンアップ作業の膨大さに驚いたのと、それから船外活動当日の1日の長さに圧倒されました。

現在のやり方では、クルーが起床後実際にエアロックから出て行くまでに約6時間半、そのあとに大体約6時間半の船外活動を行います。
船外活動後のクリーンアップ作業まで含めると、実に作業時間は13時間を優に超えます。
その間、集中力を維持して作業を行うためには、相当な体力が必要ですね。

船外活動の準備自体は、約1ヶ月くらい前から始まって、バッテリーの充電や搭載、船外活動服のサイズ調整などがスケジュールされます。
基本的には事前にできる作業は全て事前にやってしまって、当日は船外活動に集中することになります。
ではなぜ、当日エアロックから出るまでに6時間半もの時間が必要かというと、そのほとんどは減圧症への対策です。

スクーバダイビングをやる方はご存知かと思いますが、気圧が低くなったときに要注意なのが減圧症です。
これは血液中に溶け込んでいる窒素が、圧力が低くなることによってそれ以上溶けていられず、気泡となって血液の流れをブロックすることによって起こる現象です。
身近な例でいうと、炭酸飲料の缶を開けたときに泡が出る現象と一緒です。

⇒ご興味のある方は、以前私がNEEMO(ニーモ)という海底訓練に参加したときの減圧症に関する記述をご覧下さい

大西宇宙飛行士のNEEMO日記(第8回)「10月17日:閑話休題」

船外活動中の宇宙服の中は、0.3気圧くらいと低くなっているので、減圧症のリスクを抑える為に、少しずつ気圧を下げて血液中から余分な窒素ガスを追い出してやる作業が必要になります。
以前は、そのために前日からクルーがエアロック内に泊り込んだりしていたのですが、今は効率性を重視して、当日にやってしまいます。
泊り込むのに比べて時間が短い分、軽い運動を行って血液の活動を増進させ、窒素ガスの追い出しを加速してやります。
具体的には、気圧を下げたエアロック内で宇宙服を着込んだ状態で、軽い運動を行います。

「軽い」というのは、人それぞれの感覚になってしまいますが、足を前後に動かしたりする程度です。
これを50分間(!)も続けます。
昨日の訓練では、この「軽い」という感覚を身につけるために、実際に呼吸による二酸化炭素排出量を測定して、適正な血液活動が維持されているか、運動量が維持されているかを確認しました。
将来、ISSで実際に船外活動を実施する機会があれば、昨日学んだこの感覚を元に、当日の準備を行うことになります。



 
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