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2015年6月 2日
先週の金曜日は採血の話が自分の中で盛り上がり過ぎてしまい、もう1つの話題について書く余力が残っていませんでした。
それは、Body Measuresという研究についてです。
直訳すると身体測定ということになります。
これはNASAが研究している、無重力空間で人間の体がどのように変化していくかを知ろうというものです。
ここでは、体の内部の変化ではなく、外部の変化に注目しています。
一般的に、宇宙へ行くと私たちの体は地上にいる時よりも伸びたり、ある部位は広がってある部位は縮んだりすることが知られています。
これは重力の変化と、それに伴って体内の液体分布が上半身の方へシフトすることに起因します。
それによって、地上ではぴったりとフィットしていた宇宙服などが、宇宙ではきつ過ぎたりという事象が起こります。
もちろん、ある程度の変化を見越して宇宙服のサイズを決定するのですが、それでも十分な精度でこの変化を予測するのが難しい状況です。
変化の度合いは人によって異なるので、この研究ではその変化の程度や個人差によるばらつきを調べることを目的としています。
それらを調べることによって、宇宙服のフィッティングの問題を軽減したり、合わない宇宙服による怪我のリスクを軽減したり、作業場のデザイン設計に生かして、将来のミッションをより効率的に実施することが可能になります。
金曜の午前中に、その基礎データ取得が行われました。
写真のようなマーカーを体中17箇所に取り付けて、いくつかのポーズで写真撮影と、レーザーによるスキャンが行われました。
写真撮影はISSのモックアップ内で行われたのですが、研究者たちに混じって1人海パン一丁で色々なポーズを取らされるのは、かなり恥ずかしいものがありました(笑)
もちろん、これも将来の宇宙ミッションのためですから、喜んでデータ取得には協力しますが。
その後、別の施設に移ってレーザーによるスキャンを取りましたが、ご覧のようにかなり正確に自分の体が3Dモデル化されて面白かったです。
将来私がISSで実際に参加する研究・実験に関する準備や訓練が増えてきて、とても楽しみです(^-^)
昨日の午後、実験・研究に関する訓練の担当者が写真のような携帯型のクーラーボックスを私の部屋に置いていきました。
アメリカでは、よくこういうボックスにランチを入れて職場に持っていく人がいますが、これはそういうモノではありません。
48時間蓄尿検査キットです。
中を開けると、1回分の尿を溜めるプラスチック容器がたくさんと、保冷材が入っています。
私のロシア語の先生は、元々大学で生物学を学んでいた方なのですが、その先生によると尿は体の状態を最も雄弁に語ってくれるサンプルの1つなのだとか。
というわけで、さきほど起床した時から、48時間の検査スタートです。
これから48時間、肌身離さずこのボックスを携帯することになります。
こういうクーラーボックスを携帯している宇宙飛行士を見かけたら、中に何が入っているのかは聞かないで下さい(><)
48時間蓄尿検査は今回で2回目になります。
他にも、宇宙飛行士候補者の選抜試験の2次試験で、24時間の検査がありました。
蓄尿というと、「では量が多いほど良いのか」と思われるかもしれませんが、そうではないそうです。
私たちの前の選抜試験(古川さんたちが選ばれた際)では、そういうデマが広がり、とにかくたくさん出さなければという運動が広がった結果、あまりに大量の尿を溜めて「蓄尿キング」と呼ばれた方もいらっしゃったとか・・・
なので私たちの選抜の際は、まず最初に、「量は重要ではありません」と最初に釘を刺されたのを懐かしく思い出しました(^^;)
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