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2015年8月26日
速報!
先ほどの安倍首相と油井さんとの交信イベントで、金井さんのISS第54/55次長期滞在クルー任命が発表されました。
金井さんは2017年11月ごろから、約半年間ISSに滞在する予定です。
金井さん、長期滞在任命決定、本当におめでとうございます!
ミッションに向けた訓練は非常にやりがいがあるものばかりですよ。
医師としての観点から、油井さんや私とはまた違った発見もされていかれることと思います。
これまで同様、お互いがお互いの強みを生かせるように、また弱いところを補えあえるように、「3本の矢」の精神で頑張っていきましょう!
ロシアで一緒に訓練できる日が今から楽しみです。
JAXA 金井宣茂宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在搭乗員の任命決定について
今日は実験関連の訓練尽くしでした。
最初の訓練は、ISSで使用されている冷蔵・冷凍保管庫に関する訓練です。
用途別に何種類かのものがありますが、その中で最も大きいものがMELFI(メルフィ)と呼ばれる冷凍庫ラックです。
以前、このラックに関する訓練を受けたときの記事をご参照ください。
大西宇宙飛行士Google+日記(2015年4月22日)
前回は概要について教わりましたが、今回は実際に実験サンプルの交換作業の練習です。
実験サンプルは、その状態を保存することが非常に大切です。
温度管理を失敗すれば、それはそのサンプルの価値がなくなるということで、更にいえば実験自体が失敗に終わるということです。
サンプルを交換する際には、当然冷凍庫を開けなければならないので、その瞬間から中の温度は上がり始めます。
それによる温度上昇が実験サンプルの価値に影響を及ぼさないように、冷凍庫を開けていられるのは60秒までとされています。
この60秒の間に、冷凍庫を開けて、該当する容器を抜き出し、さらにそこから指定された場所のコンテナを開いてサンプルを収納もしくは取り出します。
いちいち手順書を見ているわけにはいきませんから、開ける前にしっかりと自分の頭の中で、どのコンテナが目的かというのをイメージしておかなければなりません。
まずは机の上で、練習です。
インストラクター「これがコンテナだ。これを開いて、中からサンプルを取り出すわけだが、この、ここについている大きなレバー。ひとめ、これを引きたくなるだろう?」
見ると、コンテナの左下部にこれみよがしに自分の存在をアピールしているレバーがあります。
私「うんうん」
イ「ところが、これを引くとコンテナ自体が容器から外れるようになっている」
私「!?」
イ「コンテナを開けるためには、こっち」
と、レバーの横、コンテナの右下部にある小さなつまみを指差しながら、
イ「こっちがコンテナの蓋を開けるためのつまみだ。これを回すと、蓋が開くようになっている。こっちのレバーは引かないように」
どう考えても、人間工学的におかしいデザインです(^^;)
私「素晴らしいデザインだね(もちろん皮肉)」
イ「それだけじゃない。もし、間違ってこっちのレバーを引いてしまうと、これこのとおりコンテナ自体が外れてしまうわけだが、この外れてしまったコンテナを元通り収納するにはちょっとしたコツがいる。それをしっかりと守らないと、容器を庫内にしまえなくなる」
私「本当にありがとう!」
ものを作るとき、ヒューマンエラーをなるべくなくすように、人間工学の観点からデザインを検討する重要性を痛感します。
もちろん、装置の設計にあたっては色々な要素を検討した結果、現在のようなデザインになったのだと思いますが、何を最優先にするかという点で使用者と設計者の間に乖離が生じたのかもしれません。
そして、そういった注意点を学ぶ為に私たちの訓練があるわけです。
これだけ念を押されれば、このレバーのことはきっと忘れないでしょう。
机の上での練習を終え、いざ実際の冷凍庫を使って練習です。
頭の中で、自分の操作を1度イメージで流してから、作業に取り掛かります。
私が扉の取っ手を回した瞬間から、インストラクターがストップウォッチをスタートしました。
ここから60秒以内にサンプルを収納するのが私の仕事です。
扉を開けて、4つある容器のうち、指定された容器を素早く引き出します。
-80℃まで冷やされているので、白煙が立ち上ります。
グローブ越しに、ひんやりとした感触が手に伝わってきます。
引き出した容器に並んで収納されているコンテナから、目的とするコンテナを見つけ出し、例のレバーを引かないように注意しながら、つまみを回して蓋を開けます。
コンテナの中にサンプルを収納し、あとはこれまでと逆の動作で、まず蓋を閉め、つまみを回し、容器を冷凍庫内に収納し、最初の扉を閉めておしまいです。
インストラクターがストップウォッチを止めました。
インストラクター「オーケー。23秒だ」
やりました!!
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