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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年10月30日

(出展:JAXA)

今日はソユーズのシミュレーション訓練がありました。
8月以来ですので、約2か月ぶりです。
ソコル宇宙服は着用せず、アナトーリと組んでの訓練です。

午前中のブリーフィングの時間に、試験までの3回の訓練の使い道について話し合い、
①打ち上げ準備からランデヴー開始前まで
②ランデヴーからドッキングまで(状況によっては地上への緊急帰還もあり)
③アンドッキングから着陸まで
という3つのシナリオで行くことに決めました。

というわけで、今日のシナリオは打ち上げ2時間半前に宇宙船の中に座るところからスタートです。
「座る」と書きましたが、実際には体を少し丸めたような状態で体はほぼ上を向いている感じです。
打ち上げ前の準備については、これまでに何度も繰り返してきたので特に問題ありません。
それぞれの機器のセットアップ、作動点検、宇宙船の気密性チェックなどを手順書に沿ってテキパキと進めていきます。

準備が全て終わったところで、打ち上げ2分前まで一気に時計を進め、打ち上げシーケンスへ。
約8分半の打ち上げシーケンス中は、ほとんど私たちの仕事はありません。
ここは、ロケットが頑張って仕事をするところです。

シーケンスの最後にロケットから宇宙船が切り離されるところも自動ですが、この自動切り離しが正常に作動しないというのが、「ありがちな」不具合です。
もちろん訓練での話です(笑)
実際にフライトでこれが起こったというのは聞いたことがありません。
今日もこの不具合が起こりました。
当然こちらも待ち構えていますので、定められた手順に従って手動で切り離しを行います。
手動の切り離しはボタンを押すだけなのですが、これはいわゆる「不可逆操作」と呼ばれる操作で、つまり一旦操作すると元の状態には戻せないクリティカルな操作なので、その操作をするためには、まずスイッチを入れ、次にボタンのカバーを開け、中の2つ並んだボタンを同時に押すという操作が必要になります。
そうすることによって、誤操作を防いでいるわけです。

操作自体は一瞬で終わります。
最終試験では、大小合わせて6つの不具合が仕込まれることになっていますが、これだけでそのうちの1つがクリアになるわけなので、ある意味美味しい不具合と言えるでしょう(^^;)

宇宙船が軌道に投入されてからは一気に忙しくなって、アナトーリと私とで作業を分担しながら進めていきます。
ランデヴーの開始前までに、計4回の軌道調整のためのエンジン噴射を行いますが、2回目の噴射の直前で、船内に赤色の警告灯と警報が鳴り響きました。

船内の気圧が低下したことを示す警告灯が点灯しています。

先に赤色と書きましたが、緊急度の高い異常は赤色で警告されます。
ソユーズ訓練開始当初は、この赤色が点くたびにドキッとしていたものですが、今では全く動じることがなくなったのは、これまでの訓練の賜物でしょう。

船内の気圧は頻繁にチェックしているので、この警告灯が点くようなレベルまで気付かないうちに気圧が低下している可能性はまずありません。
こういった場合、まず疑わしいのは警報の誤作動です。
今日の場合も、船内の気圧を確認すると通常時の気圧が保たれていますので、その時点で警報の誤作動と判断できます。
ただ、その警報に伴っていくつかの自動処置が行われるので、それらの処置を無効化、もしくは何らかの対応をしてやる必要があります。
が、これもまた、これまで何度もやってきたので問題なく対処できました。

その後も、エンジンに燃料を送るための加圧システムのバルブに不具合が発生しましたが、こちらも定番中の定番です。

久しぶりの訓練だからでしょうか。
今日のインストラクターは随分優しかったですね。
そう感じるのも、これまでもっと厳しい状況を切り抜けてきた訓練の数々のお陰かも知れません。
総合試験に向けて、あとは自信をつけさせようとしてくれている・・・・のかな??
とか言ってると絶対次の訓練でエグイことになるので、決して油断はしませんが(笑)


(出展:JAXA)
(出展:JAXA)


 
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