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2016年5月14日
まずは今日の試験の結果報告から。
無事に合格しました\(^o^)/
緊張してるつもりはなかったのですが、今朝、目覚ましよりも1時間半も早く起きてしまったところをみると、やはり緊張していたのでしょうか。
バックアップクルーとして、一度経験済みの試験なので大丈夫だろうと思いきや、プライムクルーとして臨む時はまた一味違った緊張感がありましたね。
プライムクルーとしての矜持というのでしょうか。
恥ずかしい結果は出せないというプレッシャーがありました。
前日に既に私たちのバックアップクルーが同じ試験に臨んでいて、見事な成績で合格していたことも一因かもしれません。
レフトシーターとしての私のバックアップクルーに当たるのは、ESAのフランス人飛行士、トマ・ペスケ飛行士。
奇しくも私と同じ、旅客機のパイロット出身です。
ちなみに、彼らは今朝はまた別の試験に臨んでいて、これまた見事な成績で合格したようです。
バックアップクルーの仕事は、プライムクルーの替わりにお酒を飲むこと、試験ではプライムクルーより悪い成績を取ること、というのはよく冗談で言われることですが、私たちのバックアップクルーはその点、容赦ないです(;´∀`)
お互いの試験が終わった後に、トマに会う機会があったのですが、
トマ「またハードル上げといたよ!」
私「プレッシャーかけてくれてありがと!」
と軽口を叩き合いました。
さて、今日の試験です。
科目は、手動降下操縦です。
通常は自動操縦で大気圏に突入するところ、その自動機能が働かなかったり、自動機能ではリカバリー出来ないほど予定のポイントから外れて大気圏に突入した時などに、手動操縦が必要になってきます。
以前詳しく書いたので簡単に書きますが、カプセルはわずかながら揚力を発生して大気の中を降りてくるので、カプセルを回転させることによってその揚力を傾けてやり、手前に落としたり、奥まで伸ばしたり、左右にずらすことが出来るのです。
試験の評価は、身体にかかったGが許容範囲内だったかと、着陸予定地点とのズレによって数値化されます。
大気圏突入時のズレによって許容範囲が変わるのですが、ズレが小さいときは、4Gと10kmというのが5点満点を取るための基準になります。
もちろん、10kmで収まらず11kmズレてしまったとしても、安全性には全く影響ないのですが、操縦技術を評価するためにはある一つの基準が必要ということです。
3枚の封筒の中から、アナトーリが1枚選んで、そこに2人でサインをします。
この封筒の中に、試験の初期条件が書かれています。
1人あたり、5回のランを行うので、合計10回分書かれています。
5本のうち、3回はセントリフュージを回して、自分の操縦に応じたGがかかります。
試験の評価対象になるのはこの3回で、残りの2回はセントリフュージを回さず、結果も評価には入りません。
もちろん、良い結果を出すに越したことはありません。
今日は5回とも全て許容範囲内に収めましたが、4本目は少しドキドキしました。
大気圏突入時に、予定よりもだいぶ奥で突入したので、着陸地点を目指すにはどんどんGをかけてカプセルを落としていく必要があります。
この時に、先述の許容範囲のGを超えないように気を付けなければいけないのですが、ちょっと臆病すぎてGを低めにキープしてしまったので、着陸予定地点を大きくオーバーしてしまうかと思いました。
途中でその状況に気付いて、そこから最大限カプセルを傾けて、最終的には辻褄を合わせたのですが、もう少し対応が遅れていれば、オーバーシュートするところでした。
そんなこんなで、無事に試験も終わり。
夕食はみんなで自転車で隣町まで出かけていき、行きつけのシャシュリク(中央アジアの串焼きのような料理)屋で食べてきました。
そこで、私が他のクルーから聞いた、最近改装されたソユーズのシミュレーターの煙発生器の威力がすごくて、手順書が読めないくらい煙が濃いという話をしていたところ、一緒にいたベテラン飛行士の方から衝撃の事実が
Σ(゚д゚lll)
「一昔前は、シミュレーターの裏でインストラクターが紙を燃やしてたんだよ」
・・・さすがロシア
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