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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年5月21日

(出展:JAXA)

昨日はケイトも加わって、3人でのソユーズシミュレーション訓練が行われ、緊急降下のシナリオを2本実施しました。

そして今日の午前中は、アナトーリと2人でソユーズの手動ランデヴーに関する試験があり、無事に合格しました。

これで、残りの試験は4つです。

ソユーズは通常、ISSとのドッキングまで自動操縦でいきますが、その手前でナビゲーションシステムの「クルス」が故障したときなどに手動に切り替えます。
手動ランデヴーというのは、ISSとの相対距離が大体3-5kmくらいのところから手動に切り替えるものを言います。
この時点では、まだ相対速度が5-8m/s前後あるので、レフトシーターの私が居住モジュールに移動して、そこからレーザー測距機でISSとの距離・速度を測定して操縦を担当するアナトーリに伝えます。

このレーザー測距機は、ボタンを押すと照準が合っている目標からの距離が表示されるのですが、普段の訓練では大体10秒間隔くらいでこのボタンを押して、アナトーリに伝えていました。
ところが今日の試験中、この間隔が短すぎるとエネルギア社の技術者の方から注意を受けてしまいました。
最低でも30秒間空けるようにと。

これは、バッテリーの持ちを考慮してのもので、ISSのドッキングポートの正面までたどり着くまでの使用を想定して、このくらいの間隔は空けましょうというものです。

今までは、少なくともバックアップクルーとして前回同じ試験を受けた時は、そのようなコメントはなかったのですが、最近改訂された手順書でいつの間にかそう変わっていたようです。
私たちクルーはもちろん、インストラクターたちも把握していない変更点でした。

まさに青天の霹靂です。
私の操作はこれまでと変わらず、単に測距する回数が減るだけなのですが、操縦者のアナトーリにとってこれは大きかったはずです。

特にISSに250mくらいまで近付いたところでは、既定の速度以内で静止しなければいけないのですが、測定の間隔が空くことでそれを判断する手掛かりが減ってしまうからです。

1本目のランでこの注意を受けて、確かにそのランはこの静止状態の確認に手間取っているようでした。
ところが、すごいなと思ったのは2本目からはしっかりと修正して、新しい測定間隔に自分の操縦を合わせてきたのは、見事というしかありません。
ずっと訓練でやってきたやり方を、試験中に修正するというのは容易なことではなかったはずですが、さすがです(;・∀・)
結果的には減点なしで試験に合格出来ました!

試験後早速、次に同じ試験を受けるトマや他のレフトシーターにも今回受けた注意について情報を共有しておきましたが、みな一様に驚いていたので、私たちだけが知らなかったのではないのだと正直ホッとしました(笑)

午後は、ソユーズの生命維持システムに関する総復習がありました。
生命維持システムと一口に言っても、その中には酸素供給システムや二酸化炭素除去装置、ソコル宇宙服など、多岐のものが含まれます。
それら一つ一つについて、来週の試験前に復習できたのは良かったです。

特に、私たちは2日かけてISSとドッキングするので、確実にお世話になるトイレの使用法や、ソコル宇宙服の乾燥の仕方、二酸化炭素除去装置のカートリッジ交換を復習できたのは本当に有益でした。

ソユーズのトイレはシンプルの一言に尽きますが、写真を見て大体使い方を想像して下さいw

ソコル宇宙服は、着ているあいだ中はかなり蒸れるので、脱いだ後にしっかりと乾燥させないと、大変なことになるでしょう。
乾燥させるときは、ヘルメットを閉めて、グローブを装着して密閉した状態で、2時間半空気を中で循環させます。

4か月後に地球に帰還する時にカビが生えていました、ではシャレになりませんもんね。

来週後半は、いよいよISSとソユーズという2つの最終試験が待ち受けています。
皆様、どうぞ良い週末を。


(出展:JAXA)
ソユーズのトイレ!(出展:JAXA)


 
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