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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年3月25日

今日はモスクワ郊外にあるエネルギア社で終日訓練が行われました。
エネルギア社というのは、ソユーズ宇宙船を製造しているロシアの会社です。
ISSのサービスモジュールなどのモジュールを設計・製造した実績もあります。
現在ロシアのISSプログラムで使用されているハードウエア(ソユーズ宇宙船も含め)の多くがここで製造・管理されています。

車に揺られ、渋滞に飲み込まれること約1時間半ほどで、モスクワ郊外のカラリョフにあるエネルギア社に到着しました。
敷地内では写真撮影は禁止されています。
なので今日は写真はありません(T T)
ヒューストンのジョンソン宇宙センターもそうですが、一見するとどこかの大学の中にいるようです。
宇宙開発企業・団体というと、一般の方々の中には近未来的な建物を想像される方も多いでしょうが(現に私もこの業界に入るまではそうでした)、むしろ歴史ある建物が立ち並んでいる光景は、イメージと相反して面白いものがあります。

今日のプログラムは以下の通りです。
①ビデオカメラ・スチールカメラについての説明
②アマチュア無線器についての説明
③多目的ツール・ヘッドランプについての説明
④各種工具類についての説明
⑤ドッキングシステムのモックアップ実習
⑥ソユーズ宇宙船の光学潜望鏡についての実習
⑦軌道上シミュレーション訓練用ソフトウエアに関する説明
以下、心に残ったことなど。

①ビデオカメラ・スチールカメラについての説明
ISSロシア区画では数台のスチールカメラが使用されていますが、1番の悩みの種はセンサー部に入り込む埃や塵だとか。
無重力では無理もないですね。
ふわふわそこら中に浮いているので、レンズ交換の際などにどうしても入り込みやすくなるそうです。
対策としては、レンズ交換の頻度をなるべく少なくするよう心がけているそうですが、それでも定期的なクリーニングがかかせないそうです。
印象に残ったインストラクターの一言。
「・・・どういうわけか、アメリカ区画よりもロシア区画の方がゴミが入りやすいんだよなあ(ボソッ)」

②アマチュア無線器についての説明
なんと言ってもインストラクターの方の強烈な個性。
年配の男性の方だったのですが、アマチュア無線への愛情が溢れすぎていて、ともすれば話が脱線し、肝心の機器の説明が時間内に終わるのだろうかとこちらがハラハラ。
でも情熱を持って教えられると、教わる側もそれに感応してしまいますよね。
ISSからのアマチュア無線交信を試すのがとても楽しみです。
この方、お土産に「宇宙開発の父」と呼ばれるロシアの偉大な科学者、ツィオルコフスキーさんの自伝を下さったのですが、その中の1ページをおもむろに開いて、

「この家で私も生まれた」

とおっしゃったので、思わず私は「!??」と、自分のロシア語の聞き間違いかと思ってしまったのですが、後で同行のロシアの方に聞いてみると、ツィオルコフスキー博士の何代目かの子孫にあたる方なのだとか

③多目的ツール・ヘッドランプについての説明
いわゆる十徳ナイフと呼ばれる、多目的ツールの説明・・・まではまあ何とか理解できたのですが、ヘッドランプはどこからどう見ても一般的な市販品。
頭に巻いてボタンを押すと光るというシンプルな構造で、「これ、わざわざこのエネルギア社で説明を受けるほどのこと!?」と同行者一同あとでその話題で持ちきりに(笑)

⑥ソユーズ宇宙船の光学潜望鏡についての実習
今回の極めつけがこれ。
壁に、ソユーズ宇宙船の光学潜望鏡が取り付けられた部屋に通され、その前に座らされました。
これはISSとのドッキング時などに使用される、外部の様子を視認できる装置です。
手動ドッキングの際には、この潜望鏡の中に見えるドッキングポートのターゲットマーカーを中心に持ってくることによって、正確なドッキングが実現できます。
星の街にあるシミュレーターでも手動ドッキングの訓練を繰り返し受けていますが、こちらはコンピューターグラフィックスで再現されたものなので、どうしても焦点の合わせ方や潜望鏡の正しい見方などが再現しきれていません。

このエネルギア社にある潜望鏡は本物と同じように作られています。
何がすごいって。
これが取り付けられている壁の向こうはだだっ広い空間になっているのですが(奥行き30m以上はありそうです)、その中にターゲットマーカーの模型がポツンと置いてあって、インストラクターの合図と共に、助手らしき人がそれを手動!で潜望鏡を覗いているこちらに向かって動かしてくれるのです。
これぞ、ザ・ロシアな感じの訓練設備。
多分何十年も前から使われているに違いありません。
そのわかりやすいこと、わかりやすいこと。
シミュレーターでは再現できない、リアルな操作感と視覚です。

・・・とまあ、盛り沢山で充実した楽しい1日でした。
エネルギア社、すごいです。



 
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