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2016年1月12日
今日はシェインと組んで、久しぶりにプールでの船外活動訓練がありました。
ちょうど別件でヒューストンに出張で来ている、HTVの内山フライトディレクターも冒頭で応援に駆けつけてくれました。
彼は私の大学時代の航空宇宙工学科の同期で、なんと研究室も同じでした。
その後、彼は宇宙、私は航空の分野へ進みましたが、2008年の宇宙飛行士選抜試験で再会し、最終試験までを共に戦った仲間になります。
HTV3号機ではリードフライトディレクタ―を務め、その後も多方面で活躍しているので、いつも私は彼から大きな刺激をもらっています。
さて。
今日のタスクは、ISSの電気機器の交換作業です。
仮置き場に設置されている機器を取ってきて、所定の場所に取り付けるという作業になります。
この作業を、想定される3つのケースに分けて実施しました。
まずは、一番ノーマルかつ私たちの観点から言うと最も簡単なパターン。
ISSのロボットアームは、先端にさらに小型のアーム(SPDMと呼ばれます)を取り付けて、ボルトの締め・緩め、物の移動などをある程度行えるようになっているのですが、そのSPDMを使って出来るだけ事前にセットアップをした状態からのスタートです。
この場合、私たちが行う作業は必要最低限で済みます。
SPDMが使えないようなボルトを備えた機器や、スペース上ロボットアームがアクセスできない位置にある装置を動かすだけで済むからです。
手順自体も既に多くの飛行士によってテストされ、改善を繰り返してきただけあって洗練されていて、特に問題なく3時間で予定された全てのタスクを終えることが出来ました。
次に実施したのが、想定される最悪のケース。
これはSPDMも含めて、ロボットアームが全く使えない想定での船外活動です。
この場合、全ての作業を私たちが実施する必要があります。
はっきり言って膨大な作業量です(;´∀`)
その一部を今日練習しましたが、例えば150㎏近くある電気機器を仮置き場から所定の位置まで運ぶのですが、これだけ重い機器になると、船外活動服に装着して持ち運ぶということが出来ません。
設計荷重を超えてしまうからです。
そこで、シェインと私が両側から機器を挟んで持って、先の1人が少し進んで機器を受け取り、後ろの1人がその間に距離を詰め機器を再度受け取り、また先の1人が少し進んで、というのを繰り返すことになります。
移動経路が真っすぐなら、時間がかかるだけで特に難しいことはないのですが、何度も態勢を変えたり、十分な手すりがないエリアを抜けなければならず、これには2人で四苦八苦しました。
時には片手で手すりを持って、もう片方の手でその150㎏の機器を回転させて先で待っている相棒に渡すという動作も必要でした。
無重力ですので150㎏という重さは宇宙では関係ないのですが、それでもそれだけの重さの物体に慣性をつけて回転させたり動かすのは、それなりに労力がいるのでは?ましてや片手でそれを扱うことなんて出来るのだろうかと、私はやっている間から不安だったのですが、後で船外活動経験者のシェインに聞くと、ゆっくり動かすように気を付けていれば全く問題ないとのことでした。
彼はもっと重いものを指2本で十分動かせたそうです。
最後に実施したのは、最良と最悪の中間のケースです。
何らかの事情でSPDMによる作業は実施できないけれども、ロボットアーム自体は使用できるというパターンです。
この場合、仮置き場自体をロボットアームで作業場所のすぐ隣に保持しておくことが出来るので、機器を移動させる距離がほんの数メートルで済みます。
SPDMが使えない分、全ての機器を人力で運ぶ必要がありますが、1つ1つの移動にかかる労力は多くないので、所要時間やワークロードは先の2つのケースのやはり中間くらいでしょうか。
シェインと私は作業ペースが大体同じなので、自然と呼吸も合って、とてもスムーズにいったと思います。
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