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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年7月 3日

(出展:JAXA)

その1

現在NASA TVでプログレス60P補給機の打ち上げが中継されています。

非常に重要な意味を持つ補給ミッションになります。

打ち上げまであと1分です!


NASA Television | NASA


その2

今日、無事にISSの緊急事態対処法の試験に合格することができました。

試験はISSのモックアップを使用して行われ、火災の発生では実際に煙を炊くなど、かなり模擬度の高いシミュレーション形式で実施されました。

受験者は私1人ですが、今回の試験のために10人以上のインストラクターが集まっています。
これにはちょっとビビリましたが。

シナリオは合計で5本です。

①アメリカのLAB(ラブ)モジュールで火災発生(私は火元の特定を担当)
②アメリカのNode1(ノード1)モジュールで火災発生(私は消火班を担当)
③急減圧の発生(LABとNode2モジュールの間からリーク)
④船外活動服用のバッテリーから有害物質が漏れる
⑤アンモニア漏れ

どのシナリオも、以前にここでご紹介させて頂いたことがあるので詳細な説明は省きますが、①の火元の特定の仕方についてはまだ書いたことがなかったと思うので、少し解説したいと思います。

火元の特定は、PC端末を使用して行います。
この端末には、ISSの各システムからのテレメトリデータが表示され、また各システムにコマンドを送ることができます。
その他に端末の重要な機能として、システムに何らかの不具合(例えば船内圧力の低下や空気循環用ファンの停止など)が生じた場合に、それをクルーに警告するメッセージを表示する機能があります。

火災が起きる理由のほとんどは、電気機器が関連しています。
例えばありそうな例で言うと、電気回路がショートして過電流が流れると、その電線が熱くなり、電線を保護しているカバーに火が着いたりします。

つまり、火災の検知と同時に、何らかの電気機器にも不具合が発生していたら、その電気機器が火元である可能性が高いわけです。

火元を特定する担当者になったら、消火班が準備にあたっている間、PC端末に表示されている警告メッセージのリストを参照して、「それらしい」メッセージを選び出します。
そうして、その電気機器のある場所を特定して、消火班に伝えます。

消火班は、指定されたエリアの空気成分を分析し、実際にそのエリアだけ周りよりも高い一酸化炭素濃度を示していれば、これはそのエリアで燃焼が起きているということになります。

少し難しい話になりましたが、ISSで火元を特定するやりかたがお分かり頂けたでしょうか?

試験の終了後は、デブリーフィングが行われ、合格の印として添付のような証明書を頂きました。
これでアメリカ区画のISSシステムに関するオペレーターレベルの試験を全て終了したので、今後は実験に関する訓練や、クルー全員でチームワークを磨くためのシミュレーション訓練が中心になっていくことでしょう。
まずは合格できて、ほっと一安心です。

7月4日土曜日はアメリカの独立記念日ですので、金曜日はその代休です。
まだ皆さんにお話していなかったような気が今更してきましたが、今週末、日本に帰国します。
今回の日本滞在は3週間です。
次の投稿は日本からになりますね。
それでは皆さん、どうぞ良い週末を♪



 
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