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2015年12月15日
12月14日 L-1 days
午前中にステートコミッションと呼ばれる会議と、それに続いて記者会見がありました。
ステートコミッションでは、関係機関の高官が集まって、私たちクルーの訓練に問題がないことを確認し、打ち上げに向けた準備が整っていることを最終判断する場です。
もちろん、全会一致で問題なしと判断され、そのあとは多くの方からの祝辞と激励が続きます。
例えば、ロシア宇宙庁のロスコスモス長官や、ヨーロッパ宇宙機関ESA長官、ガガーリン宇宙飛行士訓練センター長といった方々が列席されていました。
私たちクルーもガラス越しに列席し、最後に一言ずつ発言する機会が与えられて終了です。
そのあとは、打ち上げ前最後の記者会見が行われました。
こちらも同様にクルーはガラス越しに座って、向こう側に多くの報道陣の方々が集まっていました。
もちろん主役はプライムクルーですので、バックアップクルーには質問がきてもせいぜい1~2問なのですが、今回は私たちへの質問はゼロ!
なんと質問の3分の2以上は、ESAのティモシー・ピーク飛行士(ティム)に向けられました。
イギリス人初のISS搭乗飛行士というだけあって、注目度がずば抜けています。
イギリスだけではなく、ロシアの国内メディアからも質問が飛んでいました。
1つ1つの質問に丁寧に、かつ的確に回答している姿が印象的でした。
中でも私が笑ってしまったのは、「打ち上げ前の空き時間に、好きな曲を3曲聞くことが出来るということだが、何の曲を聞くつもりなのか?」という質問に対する回答です。
これも慣習の1つですが、クルーは打ち上げの2時間半前に宇宙船に乗り込みますが、それから普通のペースで点検や準備を進めていくと、1時間近くひたすら待つ状態が出来てしまいます。
その間に、士気高揚などの効果を狙ってクルーの好きな音楽をかけてもらえることになっています。
そこでティムの選んだ一曲目が、何といっても秀逸です。
Queenの「Don't stop me now」。
そりゃ、そのタイミングでStopかけられたら、やですよねー(笑)
記者会見後は、明日打ち上げ当日の流れの確認。
特に訓練所を出発するまでの部分について詳しく。
プライムクルーは、朝起きてからシャワーを浴びて、身体をアルコールで消毒するなどの特別な準備が必要だからです。
その他、諸々の注意事項など。
明日の朝食は、身体の消化によいものになるそうです。
そのあとの自由時間に、プライムクルーはそれぞれの家族と思い思いの時間を過ごしていました。
夕食前には、験担ぎの1つとして、クルーとその家族で映画を鑑賞します。
ソ連時代の映画で、『Белое солнце пустыни』(砂漠の白い太陽)という映画です。
私はこの時のために、この映画を観ることをしないでおいたのですが、今日いざ英語の字幕を読まずにロシア語音声だけで内容についていこうとしたら、かなり厳しかったです(;´∀`)
プライムクルーとして戻ってくる時までの宿題ですね。
この映画を観る慣習は、私のこれまでの認識ではソユーズ11号の事故のあと、ソユーズ12号のクルーが打ち上げ前にこの映画を観て、そのあと無事に生還したことに由来するというものだったのですが、映画を観た後の夕食時にロシア人の医師から聞いたところによると、全く別の由来で驚きました。
それは以下のようなものです。
世の中にビデオカセットが出回り始めた当初、あるクルーがバイコヌールにビデオデッキを持ち込んだ。
一緒に持ち込んだ映画は、たったの1本。
それがこの、『砂漠の白い太陽」。
次のクルーがバイコヌールにやってくる時、彼らはてっきりバイコヌールには既に充実したビデオライブラリーがあるに違いないと思っていたので、自分たちで新しい映画を持ってこようとはしなかった。
結果、バイコヌールで発見したのは、たった1本のこの映画。
選択の余地なく、その映画を観ることになった。。。
そうして、2度続いたこの映画の鑑賞がその後の験担ぎになったと言うのです。
ロシアらしいと言うか、何というか(爆笑)
それにしても、どちらの由来が正しいんでしょうね。
いずれにしても、ソユーズ45Sクルーも例に漏れず、皆でこの映画を鑑賞しました。
数々の訓練をこなし、数々の験を担ぎ、明日いよいよ45Sプライムクルーの打ち上げです。
打ち上げは、日本時間では20時03分の予定です。
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