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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年4月 2日

(出展:JAXA)

今朝ジョンソン宇宙センターに出社すると、机の上に青いバッグが2つ置かれていました。

これはISSから地球に帰還する時のために事前に準備するもので、ソユーズ宇宙船の着陸予定地点で私を待っていてくれるものです。

2つあるのは、通常の着陸地点と、バックアップの着陸地点の2か所に救援チームが待機しているからです。
以前にソユーズが大気圏に突入してくる際のことを書きましたが、宇宙船のカプセルは大気中で揚力(上に持ち上げる力)をわずかに発生しながら降りてきます。
その揚力の向きをコントロールしながら、所望の地点を目指すわけですが、何らかの不具合でそのコントロールが出来ない場合、カプセルはいわゆる「弾道軌道」を描いて降りてきます。
これはつまり、ボールを投げた時にそれが地面に落ちてくるのと同じような軌道で、降り方が急な分、身体にかかるGも大きいですし、着陸地点も当初の予定よりずっと手前になります。
そこで、ソユーズの着陸の際には、この2つのケースに備えて、2チームの救援チームが配備されるのです。

さて、この青いバッグです。

バッグには、自分が着陸地点で受け取りたい好きなものを詰め込んで良いのですが、最低限下記のものは入れるようにとのことです。

ブルースーツ(カザフスタンの空港でのセレモニー用)
下着
靴下
靴(ブーツやランニングシューズ、スリッパなど)
リラックスできる服装
アメニティキット(歯磨き、ヒゲソリなど)
シャワー用のタオル

幸い、冬季用の防寒着は現地で貸してもらえるそうなので詰める必要はないということでした。
私たちはバイコヌールから宇宙へそのまま旅立つので、バイコヌールに持って行く荷物は、クルー専属の医師(フライトサージャン)やスタッフの方々に頼んで、星の街やヒューストンに持って帰ってもらう必要があります。
なるべくその方々への負担が少なくて済むよう、荷物は極力少なくしたいので、理想としては現地で使う衣類をそのままこの青いバッグに入れて、星の街に置いてきたいですね。
あとは、もう古くなった下着や靴下を持って行くようにすれば、現地でそのまま処分することで荷物を減らすことも出来ます。

昨日、今日は医学データ取得(平衡感覚機能テストと骨密度測定)や語学の訓練がありました。
これで、アメリカでの公式な長期滞在訓練は全て終了です。

来週は、ドイツのケルンにあるEuropean Space Agency(ESA:イーサ)での最終訓練があり、そのあと一旦私はヒューストンに戻ってきます。
私たちの打ち上げは当初5月に予定されていましたが、それが6月に延期されたため、少し時間に余裕があるわけです。
その時間は、語学の訓練や打ち上げ前に復習しておきたい内容のリフレッシャー訓練などに自由に使えるので、非常にありがたいですね。

それでは皆さん、どうぞ良い週末を♪



 
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