このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。
<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。
2015年11月 7日
今日は午前中にソユーズの手動降下操縦の試験がありました。
今月、星の街では計6回の試験(ソユーズ5回、ISSロシア区画1回)が予定されていますが、まずはその第一関門ということになります。
試験はまず、伝統的に試験内容が書かれたチケットを選ぶところから始まります。
ロシアの試験では、このチケットを受験者自らが選ぶ形式のものが多いです。
チケットはコマンダーとレフトシーターで1枚だけ選ぶので、机の上に並べられた4枚のチケットの中から、アナトーリが迷うことなく一番左のチケットを選びました。
その封筒に、アナトーリと私がサインします。
チケットの内容はもちろん私たちには知らされません。
そこには、コマンダーとレフトシーター用にそれぞれ5種類の初期条件が記載されているはずです。
5回のランの内、セントリフュージを回転させて行うのは1,3,5回目の計3回で、試験の評価になるのもその3回分だけです。
あとの2回は、まあ回転からの休憩・回復時間といった感じで、点数はつけられますがそれが最終評価に入ることはありません。
それにしても、なんでこんなに人がいるの?というくらいの人がコントロールルームに詰めかけています。
自分たちの担当インストラクターだけでなく、ソユーズの全シミュレーション訓練インストラクターが集まっています。
そして、エネルギア社のスペシャリストを始めとする評価者の面々。
セントリフュージのオペレーターの方々、医療スタッフの方々、その他見学の方々も含め、25名くらいの大観衆です。
まずはコマンダーのアナトーリの試験からスタートし、私はその様子をコントロールルームで見ていました。
1回1回のランが終わる度に、インストラクターが評価者のテーブルの前に行って仰々しく、
「ただいまのランの結果は、突入誤差○秒、到達誤差○km、最大加速度○G、したがって評価は○○となります」
と報告しています。
なんという仰々しさ(^^;)
ロシアらしいというか、何というか。
そういうの目の前で見せられると、余計緊張するじゃないですか。
アナトーリの3本目が終わったところで、私も医療データのセンサーを取り付けるためにその場を離れました。
色々なセンサーを付けてもらっている間に、アナトーリの試験が終わったようです。
交替でセントリフュージに乗り込んで、今度は自分の番です。
シートに座り込むと、心なしか緊張しているのか、ドキドキしているのが自分でもわかります。
こういう試験はパイロットの頃から場数だけは踏んでいるので、そういう緊張には慣れていますが。
いざ、試験が始まってセントリフュージの回転が始まると、あとはソユーズの操縦に集中するだけです。
1本目は250km近く手前で大気圏に突入するパターン。
今後流れに乗れるかどうかはこの1本目にかかっていますので、とにかく慎重に慎重に操作していきます。
ピンポイントで目標地点を目指すのではなく、許容範囲内の誤差で降ろすことを優先しました。
結果、無事に減点項目なしで1本目を終了。
回転を止めた状態で2本目を行い、3本目へ。
3本目は250km近く奥で大気圏に突入するパターンです。
1本目とは真逆です。
目標地点に降ろすためには、どんどん突っ込んでいかないといけないので、必然的にGも高くなります。
降下中はソユーズのカプセルを15度刻みで傾けて揚力をコントロールするのですが、手元のコントローラーの大きなボタンを1回バチンと押すと、15度傾くようになっています。
途中、自分の中では3回押して45度になっていると思っていたのが、ふと表示を見ると30度で止まっていました。
1回分、しっかりと押せていなかったようです。
これには焦りました(;・∀・)アセアセ
しかし、高いGのかかっているなか、これに気付けたのは幸いでした。
その後の操作で15度足りなかった分を補てんするように心がけ、結果的には上手くまとめることができました。
ピンチらしいピンチは、この1回だけでした。
あとは5回目のランまで、自分の思う通りの操縦が大体出来たと思います。
自分の想定内の範囲でコントロール出来るようになってきたので、全体的な精度が上がっているのが自分でもわかります。
根気強く教えて下さったインストラクターに感謝ですね。
アナトーリと共に、無事に試験に合格しました。
あと5つ!
れでは皆さん、どうぞ良い週末を♪
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency | SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約 |