このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。
<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。
2016年4月 1日
昨日は実験の基礎データ取得や、ISSの実験ラックの使用方法に関する訓練、アマチュア無線を使った交信イベントに関するブリーフィング、ISS機器のメンテナンスに関する訓練など盛り沢山でした。
中でも特に興味深かったものを2つご紹介します。
①ISSでのRNA分析器
通常、生物学的実験のサンプルは地上に持ち帰って分析されますが、現在NASAではRNA(リボ核酸)を含むサンプルをISSですぐに解析できる装置を導入しようとしています。
そうすることによって、サンプルを採取してから24時間以内に解析することが可能になります。
面白かったのは、サンプルをいくつかのプロセスで処理した後、遠心分離器にかけるのですが、通常の遠心分離器を使用するのではなく、電動ドリルを使って宇宙飛行士自らが遠心分離させるやり方を取っていることでした。
サンプルを環状に配置した後、それをドリルにセットしてトリガーを引くだけです。
10秒数えて、遠心分離完了です。
何ともお手軽で、面白い発想だなと思いました。
②二酸化炭素除去装置(CDRA)のメンテナンス
現在、ISSのアメリカ区画にはCarbon Dioxide Removal Assembly(CDRA:シードラ)と呼ばれる二酸化炭素除去装置が2つ装備されています。
通常は、2つの内の1つが稼働していて、残りの1つはバックアップとして温存してあるのですが、このCDRA、かなり頻繁に故障に見舞われていて都度宇宙飛行士がそれを修理しています。
しかもその修理作業の難易度がかなり高いことで有名です。
「モンスター」と呼ぶ飛行士もいます。
通常はスペシャリスト資格保有者がこのメンテナンスを行うので、私はこれまで訓練を受けていませんでしたが、今回初めてその訓練を受けることが出来ました。
CDRAの故障の一番の原因はバルブの故障ですが、その交換作業を実施しました。
まず複雑なのは、CDRA自体をラックから引き出すことです。
後ろの配管を外したり、諸々の準備作業が必要で、2人の飛行士が作業しても2時間以上が必要だそうです。
いざ、引き出してみたCDRAはまさにモンスター。
大きさとしてはラック全体の4分の1くらいなのですが、よくもまあこれだけの機器をそのスペースに詰め込んだなと、感嘆してしまいました。
ピッチリと隙間なくラックに収まるよう、複雑に入り組んだ配管。
バルブを交換するために故障したバルブを取り外そうにも、ネジにアクセスすることすら容易ではありません。
ネジごとにアクセス方法と使用する工具を切り替えて、何とか取り外しに成功。
ところが、そこに新しいバルブを取り付けるのがまた大変です。
ネジや配管を並行して接続していかなければなりません。
1つずつ接続していくのは不可能に近いです。
例えるなら、映画「バックトゥザフューチャー」で、ドクがマーティを現代に送り返すためにデロリアンに電流を送るための電線を時計台に配線するシーンがありますが、あの1か所を接続すれば他の箇所が外れ、という感じです。
噂には聞いていましたが、CDRAのメンテナンス作業はかなり手強そうです。
ISS船内の二酸化炭素濃度を低く抑えることは、クルーの健康上非常に重要なので、CDRAが故障すればすぐに修理することになるでしょう。
もし私がその作業に当たることになったら、頑張りたいと思います!
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency | SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約 |