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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年3月 6日

JAXAデジタルアーカイブより
窒素タンクを運ぶ船外活動中のNASA宇宙飛行士(出典:JAXA)

今日は午前中に実に久しぶりのロボットアーム訓練、午後はISSアメリカ区画の生命維持システムに関する訓練、英語とロシア語の授業がありました。

ロボットアームの訓練は2年ほど前にアドバンス訓練を修了してからほとんどご無沙汰でしたが、来週技量確認のテストがあるので、それに向けたリフレッシャー訓練の1回目になります。

最近は地上とISS間を結ぶ通信インフラが進化したために、大抵のロボットアーム操作は地上からの遠隔操作で行われるようになりました。
1番の貢献はビデオカメラの映像を同時に多系統地上に送れるようになったことでしょうね。
これはもちろん、宇宙飛行士が本来のISSの目的である、科学実験に割くことのできる時間を増やしたという点で、大きな進歩です。

従って、現在ISSで宇宙飛行士がロボットアームを操作する機会はそれほど多くなく、より具体的に言えば以下の2つのタスクのみになっています。

①船外活動の支援
②HTV(こうのとり)などのISS補給機のキャプチャー

②については来週月曜にリフレッシャーがあるので、またその時にでも。
今日は①の船外活動の支援に関するリフレッシャー訓練でした。
船外活動中の支援としては、主に宇宙飛行士をアームの先っぽに乗せて、別の場所に移動させることが仕事になります。
その他にもアームを使わないと宇宙飛行士が作業をする足場を確保できないような場合にも、アームが使用されます。
実際にISSでアームを使用して行われた船外活動の写真をご覧下さい。

今日の訓練のタスクは、宇宙飛行士をアームに乗せて、ある非常に大きな予備部品を保管場所から取り出して、古い部品と交換するために別の場所に運ぶ、というものでした。

「はい、これが今日の手順書ね」

とインストラクターから渡される手順書を分析するために与えられる時間は、わずか20分。
その20分を最大限に活用して、アームの動き、船外活動クルーの動きを把握しなければなりません。
またISSがモデル化されている3Dグラフィックスソフトを使用して、手順のどの部分ではどの船外カメラを使うかとか、どの部分でISSとアームとの間の間隔が厳しく(狭く)なるか、などをチェックしていきます。
もし、アームをISSに衝突させてしまったら、大減点。
テストでこれをやってしまうと、一発アウトです。

加えてこの作業を難しくしているのが、船外カメラの不自由さです。
使えるカメラが限られていて、また1つのカメラが捉えることのできる視野もそれほど広くないことから、アーム全体の動きを見るためには複数のカメラ映像を同時に監視してやる必要があります。
それでも、「どうしても、アームのこの部分が見えない! すぐ近くにISSがあるので、ここの間隔をもっとしっかりチェックしたいのに見えない!」ということが出てくるので、そういう時は船外活動クルーに頼んで彼ら自身の目でそこを監視してもらうよう頼む必要があります。

訓練で実施するタスクは、わざとカメラから見えにくい位置にある場所で作業をすることがほとんどなので、アームの操作中は大げさでなく一瞬も気を抜けません。
隣に座っているインストラクターに、操作中ずっと

「いまここの間隔は十分なので問題ない」
「このカメラではこの間隔が非常に狭く見えるけど、こっちのカメラで判断するとまだ最低限の間隔は確保できてるから、このまま続ける」

などと自分の考えていることを言葉で説明していきます。
時にはインストラクターの方から、わざとISSにアームがぶつかるような方向へ移動させるような指示をしてくることもあります。

「こちら船外活動クルー。手が届かないので、ISSのこちら側に2mアームを動かして欲しい」

もちろん、船外活動クルーの作業を少しでも容易にするために最大限の努力はしますが、それでも無理な時は

「これ以上はISSに近付きすぎるので動かせない。こちらの方向なら3mほど動かせそうだが、それで何とかならないか」

というように断った上で、可能な代替案を提示してあげます。
そんなこんなで予定された部品の交換を終え、クルーを元の場所に戻してあげようとしていたところ、

「こちら船外活動クルー。宇宙服内の気圧が低下している警告が点いた。船外活動をただちに中止して、エアロックに戻る」

といった緊急事態まで発生します。
そうなるともう、とにかく迅速にクルーを適当な場所に下ろしてあげる必要が出てきます。
15分以内にプランを練り、実行しなければなりません。
そのまま元の場所まで戻り、途中から手動で近くの手が届くてすりの所までクルーを運んであげたところで訓練終了。
緊急事態の発生から11分が経っていました。
訓練の最大の山場を乗り越えて、ホッと一息。

今日は久しぶりの訓練だったわりには、まずまずの出来でしたが、テストの時に慌てることがないよう、少しコソ練を積んで本番に臨みたいと思います。

ISS補給機のキャプチャーも結構難しいので、それも練習しないと
(^^;)


JAXAデジタルアーカイブより
ロボットアームに乗って移動する船外活動中の星出宇宙飛行士(出展:JAXA)


 
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