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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年6月20日

その1

昨日の船外活動訓練は無事に終わりました!
今日はそんなに筋肉痛もひどくないですが、きっと明日あたりにくると思います。

訓練といっても昨日のは一種の試験でしたので、コントロールルームにはいつものインストラクターチームの他、先輩宇宙飛行士、安全審査担当、ボーイングの担当者、フライトコントローラーといった大勢のギャラリーが詰めていて、一種独特の空気が流れていました。

タスクは、先日ご紹介したFHRCの予備品をインストールするという作業だったのですが、最初の1時間半くらいでその予備品を保管場所から取り出しました。
船外活動服の手袋には、手の甲のところにベルトが入っていて、それを締めることによって手袋のキツさを調節することが可能です。
昨日はそのベルトをいつもよりキツめにセットしてもらったところ、それが悪かったのか、開始して1時間くらいで左手の握力が強く握れなくなるくらい疲れてしまい、正直焦りました。
その後は、なるべく右手を使うようにして、何とかごまかしごまかし最後まで自分のペースは維持できたから良かったようなものの、次からは気をつけないといけません。
ベルトが緩すぎても、きっと手袋がパンパンになってしまって握りにくいのですが、締めすぎも考え物です。

ケイトがロボットアームに乗って、予備品を保管場所から設置場所に運ぶので、その間私は工具などを持って、自分の手で移動して先回りしました。
一足先に設置場所に着いて、もうすぐケイトの乗ったロボットアームが到着、というときになって、ヘルメット内にインストラクターからの「秘密通信」が届きます。

「タク、ヘルメットの中に水が溜まり始めて、テニスボールくらいの大きさまで広がってきてるって報告して」

もちろん、この会話は相棒のケイトには聞こえません。
言われたとおりに報告すると、ケイトがすぐに助けに行くからと、クルーレスキューの手順を開始しました。
その間もインストラクターからは、

「水のせいで、もう前も見えなくなる」
「ここから先は、もう何も聞こえなくなる、話せなくなる」

と矢継ぎ早に「演技指導」が入って、私もそれに応じて演技をします。
今回のシナリオは、クルーレスキューの練習の中でも難易度の高いものだったのではないかと思います。
というのは、ケイトはロボットアームに乗ったままですし、その手には大きなFHRCのボックスを抱えているのですから。
そのため、ケイトは私を助ける前にまずロボットアームを近くの空いている場所まで誘導して、そこにFHRCを仮止めしたあと、私の元にやってきました。
そして自分と私の体をテザーで繋いで、慎重にエアロックまで誘導して規定の時間内にクルーレスキューの科目を達成しました。
それはもう見事なものでした。

そのあとは、2人で協力してFHRCの予備品を所定の場所にインストールして、電気やアンモニアの配管を接続したところで午後3時の訓練終了の時間になりました。

プールの中に入っていた時間は、正味5時間半くらいでしょうか。

作業場所が狭くて難しいタスクでしたが、何とか試験にも合格できたので良かったです。
もちろん、船外活動訓練はこれで終わりではありませんし、デブリーフィングでも今後の改善点としていくつか指摘を受けたので、これからはそのへんに注意して、訓練に臨みたいと思います。


その2

今日の午前中は、日本のSynergy(シナジー)と呼ばれる研究の基礎データ取得が行われました。
先日油井さんもTwitterで紹介されていたので、ご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

Synergy

これは宇宙で長期滞在を行った宇宙飛行士の体が、地上に帰ってきた時に地上の環境に再適応する過程を調べようという研究の1つで、長期滞在後の宇宙飛行士が帰還直後に上手く立てないことがあることから、私たちの体の姿勢制御のメカニズムに注目しています。

もう少し具体的に言うと、ISSに滞在する宇宙飛行士の飛行前後に、起立中と歩行時の脚の筋肉の筋電図、血流量、および重心バランスの変動を測定します。
それらのデータから、起立や歩行といった動作をする際に必要な、脳や神経の統合的な働きの変化を調べます。

この再適応の過程を解明することで、宇宙でのトレーニング方法の開発や帰還後のリハビリテーション法の改良に応用できるほか、地上での医療現場におけるリハビリテーションへも貢献できる可能性があります。

今日の基礎データ取得では、まず下半身を中心にセンサーを、また体全体にモーションキャプチャー用のマーカーを取り付けられました。

そして、バランス感覚のテストです。
これは普通に立った状態から、PC画面に示される自分の重心位置を所定の位置にコントロールするというもので、結構難しいです。
例えば普通中心付近にある重心を、体を少し後ろに反らせて後方に重心を持ってくるような動作を、10回ほど繰り返します。

次に、歩行テストです。
約5mほどの距離を15回歩き、その動きをモーションキャプチャーで記録されるのと、足の裏にかかる圧力を測定されます。
普通に歩くだけなのですが、研究となると何だか少しぎこちなくなってしまいました。。。

今回のデータを、長期滞在から帰還直後のデータと比較することになります。
(正確には、基礎データはバックアップクルーとして1回、プライムクルーとして1回の計2回行われます)
研究の成果に期待したいですね!

それでは、皆さんどうぞ良い週末を♪


シナジー研究 センサーとマーカーの取り付け後(出展:JAXA)
シナジー研究 バランス能力テスト(出展:JAXA)

シナジー研究 バランス能力テスト(出展:JAXA)


 
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