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2016年1月22日
今日も1日盛りだくさんでした。
英語の授業から始まり、その後ISS内で使用されている有害物質に関する訓練。
ここでは、それらの有害物質が船内に漏れ出した場合の対処法と使用する防護グッズについて復習しました。
これらの汚染防護グッズはCrew Contamination Protection Kit(略してCCPK、シーシーピーケー)と呼ばれます)。
有害物質を掃除するために使用するグローブや、自分を保護するゴーグル、回収した有害物質を廃棄するまでの間安全に保管するためのバッグなどなど。
それらの中から写真で2点、ご紹介します。
目に異物が入った時に目を洗い流す用のゴーグルと、有害物質処理用のグローブです。
前者は水泳に使用するゴーグルを改造したもので、目の部分にそれぞれ2本ずつチューブは付いています。
チューブは1本は飲料水の供給装置に繋げ、もう1本はプラスチックバッグに繋がっています。
装置から水がゴーグル内に入り、目を洗い流した後プラスチックバッグに収納されるようになっています。
その訓練のあとは、本日のメーンイベント。
いわゆるIV(アイヴィー)と呼ばれる静脈注射の練習です。
普通の注射とは違い、針の周りにカテーテルと呼ばれる細い透明なチューブがついた注射を使います。
これまでの2回の採血の練習ですっかり苦手意識の染みついてしまった私。
前回までのあらすじは、
大西宇宙飛行士Google+日記(2015年5月30日)
と
大西宇宙飛行士Google+日記(2015年9月1日)
をご覧ください。
今回はインストラクターだけでなく、お医者さんも同席しての訓練です。
静脈注射は採血と違って、自分で自分を練習台にすることは出来ないので、当然犠牲者が連れて来られます。
部屋に入って来た本日の犠牲者を見て、ビックリ。
なんと何度も宇宙船のランデヴーや補給機のキャプチャー訓練で教わっている、アラン教官が入ってきました。
よく知ってる人で良かったような、逆にやりにくいような・・・、何とも言えない気持ちになりました。
たくましい腕を差し出してもらい、上腕部を縛ってみましたが、ほとんど血管が見えません(;´Д`A
どうやら高難易度の患者さんを連れてきたようです。
目で見て血管の位置がはっきりわからないので、触ってみて探します。
グローブをはめた指先で、微妙な血管のコリコリっとした感触を探すのは大変でした。
何とかそれらしい箇所(!?)を発見し、ペンで印をつけます。
アルコールワイプで一帯を消毒したあと、慎重に注射針を取り出します。
前回、針のキャップを外すときに自分を刺してしまったので、慎重に、慎重に。
前述しましたが、針の周りには細いカテーテルが被さっているので、それが飛び出さないように人差し指で押さえながら、親指と中指で針を持って、目指す血管の場所に差し入れます。
すぐにチューブに血が入ってきて、針が正しく血管に入ったことがわかります。
・・・ここまではすんなり、と決して油断したわけではないのですが、このあと、カテーテルだけをさらに血管内に差し込んで、針を抜く段になって大きな壁にぶち当たります。
本当に文字通り、カテーテルが壁にぶち当たったように、血管内に入っていってくれません。
普通はほとんど抵抗もなく入るはずなのです。
見ると差し込んだ針の先の皮膚がポコンと膨らんでいます。
インストラクターがそれを見て、どうやら運悪く血管内の弁があるところに刺してしまったらしく、その弁をカテーテルが越えられずに、中で折れ曲がってしまっているとのことです。
そ、そんなことがあるのか・・・(゚д゚lll) と医学のド素人の私は、もう言われるがままにカテーテルを抜くしかありません。
運が良ければ、カテーテルがうまく弁を通り抜けてくれることもあるそうですが、今回のように引っかかった場合は一旦諦めて違う場所に刺し直した方が良いと教わりました。
アラン教官が「俺の腕は難しい」とか何とか言っていましたが、もう私は必死で聞いていられません。
もう片方の腕に変えることにして縛ってみましたが、これまた血管を見つけるのが難しいのなんの。
さっきの腕に輪をかけて難しいです。
触感で、多分ここだろうという位置を何とか見つけて、同じようにペンで印をつけます。
傍から見ると、どこに血管があるのか絶対にわかりません。
でも触った感触から、そこに血管がありそうなのです。
「こういう血管は、かなり深く針を差し込まないといけないかも知れないわよ」
と、親切にインストラクターがアドバイスしてくれます。
慎重に針を刺しますが、今度はすぐに血が入ってきません。
もう少し、奥まで。
やはり、入ってきません。
私の脳内イメージでは、もうかなり皮膚の奥まで針を刺している感覚です。
「もっと奥まで入れないとダメかも」
と言われ、その通りにやってみましたが、ダメです。
インストラクターが周囲を触ってみて、
「少し針がずれて、血管を外してるかもしれない。ほんの少しだけ針を戻して、少し角度を横にして刺してみて」
と言うので、言われた通りにしてみたところ、血が入ってきました!
横から血管の中に入ったようです。
すかさずカテーテルを差し込みます。
今度は驚くほどすんなりと入りました。
カテーテルを一番奥まで差し込んだ後、針を抜きます。
これで、カテーテルだけが血管内に残されたことになります。
静脈注射は、このカテーテルを通じて、血液内に直接薬を送り込むことが出来るそうです。
今日は薬の代わりに、塩水のような液体を送り込みます。
カテーテルさえしっかりと入っていれば、これ自体はそれほど難しくはありません。
針を外すときと、最後にカテーテルを血管から抜くときに、血が勢いよく出てくるので、すぐに処置しなければいけません。
止血して、絆創膏を貼ってあげて、完了です。
アラン教官は、2度も針を刺されたにも関わらず、
「ナイス!よくやったな。次は訓練で会おう」
とニッコリ笑って握手してくれました。
2回目は何とかなりましたが、途中でインストラクターの助言がなければ、どうして良いかわかりませんでした。
いかに、針を入れやすい血管を見つけるかがカギのような気がします。
「彼、かなり難易度高いよね?」
と聞くと、医師の方が、
「超高難度だったわね。ちゃんと血管見つけたときは、本当に感心したわ!良く出来ました」
と言って下さったので少し救われた気分でした。
午後にも訓練があったのですが、今日のところはこのへんで。
夢にIVが出てきませんように・・・
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