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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年5月 7日

(出典:JAXA)

昨日から油井さんら第44/45次ISS長期滞在クルーのロシアでの最終試験が始まっています。

最終試験は2日間に渡って行われ、ISSのロシア区画に関するシミュレーション試験と、ソユーズ宇宙船に関するシミュレーション試験からなります。

通常、1日目はプライムクルー(正規のクルー)がISSのシミュレーション、バックアップクルー(予備のクルー)がソユーズのシミュレーションを受け、2日目はそれが逆になります。

ですので、プライムクルーである油井さんたちは昨日無事にISSの試験に合格し、今日はソユーズ宇宙船の最終試験です。
今頃は、もう試験が始まっているはずです。
きっとこれまでの訓練の成果をいかんなく発揮されることでしょう!

私の方はというと、午前中に船外活動服のシステム訓練を受けました。
宇宙服、と言ってしまった方がわかりやすいですかね。
3回の訓練の最終回にあたる今回は、インストラクターに対して私が系統図を使用しながらシステムの構成を説明するというものでした。

宇宙服は小型の生命維持システムですから、非常に複雑によく練られた設計で、つくづくよくできたシステムだと思います。
大きく分けて以下の3つの機能があります。

①酸素の供給
まあ当然と言えば当然ですが、人間が真空の宇宙空間で活動する上で必須の酸素です。
私たちが呼吸する為はもちろん、宇宙服内の換気や、後述する水循環システムを加圧するためにも使われます。
呼吸によって吐き出される二酸化炭素や水分は取り除かれ、酸素だけが循環し続けます。

②冷却機能
真空では外部との熱のやり取りがありませんので、何もしなければ宇宙服内で発生する熱は行き場がなく、温度は上がっていく一方です。
何らかの方法で冷やしてやらなければ、宇宙服も、私たちの体自体も簡単にオーバーヒートしてしまいます。
そこで、冷却水を使用します。
水を循環させて熱を集めて回り、温まった水はエアコンや冷蔵庫のように昇華熱を利用して冷却し、というのを繰り返します。

私たち宇宙飛行士の体ももちろん冷やしてもらわなければなりません。
そのため、宇宙服の下に着込む専用の下着(写真参照)には冷却水が通るための細いパイプが網目のように縫いこまれているのです。
写真をよーく見ると、パイプが浮き上がっているのが見えるのですが。。。
ちなみに背中から出ている黄色のパイプは、空気が通るものです。

③電力の供給
これまで述べてきた機能を実現する為には、もちろん各種バルブやポンプなどを動かす為の電力が必要です。
これにはバッテリーが使用され、船外活動中に宇宙服が必要とする電力を供給することになります。

人間の生命活動を維持する為に必要なこれらの機能が、あの宇宙服の中に詰め込まれているわけですから、本当にすごいですよね。



 
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