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2016年3月26日
米国での訓練も終盤にさしかかっています。
今日は船外活動に関する訓練が中心でした。
まずは、第42/43次長期滞在クルーのテリー・バーツ飛行士とのタグアップから。
これは、プライムクルーとして打ち上げのためにロシアに出発する前に、長期滞在経験者から色々なアドバイスをもらうための時間です。
これと言って決まったトピックがあるわけではなく、与えられた1時間という貴重な時間をどう使うかは、参加者に委ねられています。
参加者はテリーとケイトと私の3人だけなので、かなり本音トークです。
テリー自身の体験談が中心ですので、ここで内容をご紹介することは控えますが、とてもためになる話ばかりでした。
もちろん、星の街での生活中や、日頃の訓練の中で、先輩飛行士から色々な話を聞ける機会も多いのですが、しっかりとスケジューリングされてこういった時間が確保されているのはありがたいです。
打ち上げが近付いてきてはじめて生じる疑問も、沢山ありますからね。
そのあとは、ずっと船外活動に関する訓練でした。
主に、ヴァーチャルリアリティー施設を使った訓練です。
まずは、SAFER(セイファー)の使用法を練習する最後の訓練です。
SAFERは船外活動服に取り付けられる、小型のスラスタ―です。
船外活動中に、ISSから離れてしまった時に使う、最後の切り札です。
詳しくは、過去の投稿をご覧ください。
大西宇宙飛行士Google+日記(2015年6月6日)
続いて、SAFERを船外活動服に取り付ける訓練。
SAFER自体は、カタカナのコの型をしていて、これを宇宙服のバックパックの下側に取り付けることになります。
宇宙服を着込んだ状態では、右手をだらりと下げた状態から右手を後ろに伸ばしたところにレバーがあって、それを上にあげるとSAFERの操縦装置が飛び出す仕組みになっています。
そのあと、ISSでPCを使用してSAFERのシミュレーションを行うプログラムに関する訓練を受けました。
NASAのヴァーチャルリアリティー施設のマシンは強力なので、そのクオリティと比べるとかなり落ちますが、それでもISSで実際に船外活動を行う直前に同様の訓練が受けられるのはとても良いです。
以前は、PCで動作する単なるプログラムでしたが、いまはよりハイテクになっていて、ゴーグルを取り付けることによって、PC自体がヘッズアップディスプレイのようになります。
ラップトップPCを開いた状態で上下さかさまにして、ディスプレイ前につけたゴーグルに顔をつけると、目の前にISSの仮想現実空間が広がるようになっています。
無重力のISSならではのアイディアですね。
言葉では説明しにくいのですが、実際の写真をご覧頂くのが一番イメージしやすいかと思います。
次に、仮想現実空間のISS上を縦横無尽に動き回って、主要な機器の位置を総復習です。
故障した場合にすぐ船外活動が必要になるような、重要な電源機器などの位置、ならびにそれらのスペアが置いてある位置などを確認していきました。
驚いたのは、日陰に入った途端に目に見える情報が極端に少なくなり、簡単に迷子になってしまうことでした。
宇宙ステーションはサッカーグラウンドくらいの大きさがありますからね。
自分の目の前しか見えないと、本当に自分がどこにいてどっちを向いているかを把握するのが大変だなと思いました。
こればかりは、プールでの船外活動訓練では身に付けられない感覚なので、実際の船外活動前にしっかりとイメージしておくことが大切だと思います。
最後に、500ポンド(230Kg)近い電源機器を手で扱う際の感覚を練習しました。
ちょっと力を入れただけでそっちの方向に慣性がついてしまうので、1人で取り扱うのはかなり大変でした。
通常このような大きくて重い機器を取り扱うタスクは、2人のクルーがアサインされるので、今日はあくまで感覚を経験することが目的でしたが、いやはや、それにしても驚くほど難しかったです。
以上で、第48/49次長期滞在ミッションに向けた船外活動訓練は、全て終了です。
巨大プールで行う実技訓練が9回、それ以外にも多くの訓練時間を費やしました。
間違いなく、ソユーズ宇宙船の訓練に次いで最も多くの時間をかけた訓練だと思います。
それだけ沢山の時間を一緒に過ごしてきたインストラクターたちとも、しばしお別れです(´;ω;`)ウゥゥ
来週は、米国で行われる「公式」な訓練の最終週です。
それでは皆さん、どうぞ良い週末を♪
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