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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年12月11日

(出展:JAXA)

12月10日 L-5 days

いやー、もう5日前なんですね。
自分で書いててビックリです。

さて、ソユーズ宇宙船の2回目のフィットチェックがありました。
これはほぼ全ての艤装や物品の搭載が終わったことをクルーが確認するものです。

約1週間ぶりに施設のテリトリーの外に出ました。
プライムクルーと2台のバスに分乗して、バイコヌール宇宙基地へ。
果てしなく広がる荒野を行くこと45分、先日1回目のフィットチェックで訪れた巨大な建物に到着です。

エネルギア社の幹部とブリーフィングを行い、早速私たちバックアップクルーから宇宙船へ向かいます。
先日との大きな違いは、宇宙船は既にロケットのフェアリング(覆いだと思ってください)内に収納されています。
なのでカプセル自体は外からはもう見られません。

足場を昇って宇宙船への入り口のあるハッチ前まで来ると、ハッチ越しに見慣れた船内が見えます。
驚いたことに、宇宙船とフェアリングとの間にほとんど隙間がないことでした。
私のイメージでは、フェアリングの中に十分なスペースをとって収納されていると思っていたのですが、ぴっちりと隙間なく収納されている感じです。
このフェアリングは、打ち上げ時に宇宙船を音響や振動、空力的抵抗や摩擦熱から守るためのものですので、空気が十分に薄くなった高度に達した時点で、パカッと2つに割れて切り離されます。
打ち上げから約2分半でそれが起こります。

靴を脱いで足に防護カバーを履いて、頭にキャップをかぶり、ハッチから居住モジュール内に入ります。
私たち3人と技術者1人の計4人が入ると、もう完全に定員オーバーです。
これまた先日と違い、居住モジュール内には既に物が詰め込まれています。
ソユーズのフライト中に使用するものから、ISSへと運搬される宇宙食など、搭載できる最大量まで船内に搭載されています。
元々狭い船内が、さらに一段と狭くなっています。
一通り説明を受けた後、1人ずつ下にある帰還モジュールに移動します。
こちらは、先日見た時とほとんど変わっていません。
プライムクルーのリクエストに応じて、タイマーや手順書を張り付ける用のベルクロがあちこちに貼られていることくらいでしょうか。

船内のものは一切操作をしないように言われているので、すぐに外に出て私たちの番は終了です。
打ち上げ前の宇宙船がどんな状態かをこの目で見られたのはすごく参考になりました。

続いてプライムクルーがフィットチェックに向かいました。
打ち上げ当日に使用するニーボード(膝につけてメモを取ったりできるもの)やタイマーなどを技術者に手渡したそうです。
それらの物品は、当日宇宙船に乗り込む際に手渡されることになっています。

プライムクルーが戻ってきた後、エネルギア社の幹部とデブリーフィングを行い、クルーからはコメントなしでフィットチェックを終えました。

その後、別の建物に移動して、打ち上げに使用するロケットを見学させて頂きました。
既に第1段、第2段ロケットと組み上がっていて、そこに先ほどフィットチェックを行ったフェアリング部分が結合され、打ち上げ台へと運ばれることになります。
この打ち上げ台に運ばれることを「ロールアウト」と呼ぶのですが、13日に予定されています。
これはプライムクルーは見ず、バックアップクルーだけが見に行くことになっています。

その建物の中に、

『ПРЯМАЯ СВЯЗЬ С МКС』

と書かれたいかつい旧式の電話機があるのですが、これは直訳すると『ISSへの直通電話』という意味です。

もちろんジョークです(笑)

プライムクルーそれぞれ受話器を取って、「そっちの調子はどう?」みたいな会話を話していて、皆で爆笑しました。

その後は慣習に従って、バイコヌール宇宙基地内にある博物館へ。
この博物館は、普通には訪れることが出来ませんが、非常に興味深い展示が多くあります。
例えばガガーリン飛行士のフライト中に使用された通信機や、ロケットの打ち上げに使用する操作卓、旧型ソユーズの計器パネルなどなど。
博物館の外には、ソ連のスペースシャトル『ブラン』も展示されています。
写真でいくつかご紹介しますね。

続いてすぐ隣の、ガガーリン飛行士とセルゲイ・カラリョフの住んでいた家へ。
このソ連の宇宙史に大きな足跡を残した2人の英雄が、当時つつましい生活を送っていた様子を垣間見ることが出来ます。
ここを見学した後、帰路につきました。

さあ、今日はいよいよ油井さんの帰還ですね!
既に、ISSとソユーズとの間のハッチは閉められたようです。
このあと、

ISSから分離 (12/11 18:49頃)
軌道離脱噴射完了 (12/11 21:24頃)
モジュール分離 (12/11 21:46頃)
大気圏突入(12/11 21:49頃)
ソユーズ宇宙船着陸 (12/11 22:12頃)

と続いていきます。
皆さん、是非応援して下さいね!!


他人の新車に試乗している3人(笑)居住モジュール側から帰還モジュールをハッチ越しに見るとこうなります。(出展:JAXA)
ハッチの奥の黒い部分が宇宙船なのですが、いかに隙間なく収納されているかがお分かりいただけますでしょうか?(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
既に宇宙船はフェアリングの中に収納されています。(出展:JAXA)

バイコヌールから旅立った全ての飛行士の写真が並んでいます。(出展:JAXA)
(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
バイコヌール宇宙基地内でセルゲイ・カラリョフが住んでいた家。ガガーリン宇宙飛行士訓練センター撮影。(出展:JAXA)

ガガーリン飛行士が搭乗した当時は、ソユーズに軟着陸の能力はなく、ガガーリンは座席ごと外に射出されて、そこからパラシュートで地上に帰還しました。ガガーリン宇宙飛行士訓練センター撮影。(出展:JAXA)
『ISSへの直通電話』で通話を試みるプライムクルー。ガガーリン宇宙飛行士訓練センター撮影。(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
パネルの下部には、ПУСК(打ち上げ)とОТБОЙ(キャンセル)と書かれた2つのボタンが(;・∀・)(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
(出展:JAXA)


 
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