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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年6月12日

(出展:JAXA)

ケルンと言えば、大聖堂ですね(^^)
町の中心にあって、その存在感は半端ないです。

さて、今日は午前中にコロンバスモジュールのオペレーターレベルの試験があって、その後は実験用ラックに関する訓練が行われました。

試験はシミュレーション形式で行われました。
ケイトと2人で模擬タイムラインに従って、コロンバス関連のタスクを実施しつつ、時折発生する不具合に対処していきました。

通常のタスクは比較的シンプルで、コロンバス用のラップトップの起動やビデオカメラのセットアップなどを行いました。

こういった試験では、むしろ重視されるのは不具合への対処の仕方です。
まず最初に発生したのは、熱制御系システムのセンサー不具合でした。
故障したセンサーによって、あたかも熱制御システムが正常に働いていないかのような警報が作動しましたが、定められた手順に従って、他のセンサーのデータから警報が誤作動であることを確認してケースクローズです。
考え方は非常にシンプルで、要は多数決になります。
いくつかあるセンサーの中で、1つだけ異常な値を示していたら、そのセンサーが故障したと考えるのが原則です。

次に、換気用ファンの故障が起こりました。
換気は無重力状態のISSでは非常に重要な要素の1つですので、ファンは2つ装備されています。
1つのファンが停止すると、システムは自動的にもう1つのファンを起動するようになっているので、クルーとしてはそのプロセスが正常に実行されたことを確認するのが仕事です。

続いて、そのもう1つのファンが故障しました。
ファンが両方とも故障してしまうと、その影響は一気に深刻になってきます。
コロンバスの中では換気が行われなくなるので、クルーは低酸素症や過剰二酸化炭素の症状に気をつけなければなりません。
宇宙空間では地上のような対流が起こらないので、換気システムが停止すると、空気はずっとその場所に留まることになります。
極端な話、呼吸をすると口の周りの二酸化炭素濃度がどんどん上がっていきます。
また口の周りの酸素をどんどん消費しても、周りから自然に補充されるわけではありません。

換気システムが停止した場合、もう1つ大事なことがあります。
ISSでは煙感知器が主に火災を検知する手段として用いられていますが、空気の循環が停止すると、火災が起こっても煙はその場所に留まるので、感知器で検知できなくなります。
したがって、クルーが定期的にそのモジュール内で火災の兆候がないことを確認する必要が出てきます。

換気システムの重要性がお分かりいただけたでしょうか?

試験の締めくくりは、実験用ラックでの火災発生でした。
ラックには通常専用の煙感知器が装備されていて、今回のケースではそれが作動しました。
対処方法としては、まずは安全な場所に避難して、自分たちの身の安全を確保します。
次に火元の特定と、可能であれば消火を試みることになります。

煙感知器が作動しているので、火元の特定は容易です。
その感知器が存在するラックが火元であると考えるのが妥当です。
正式には、空気の成分分析器を使って、そのラック内の空気をサンプリングします。
物が燃焼すると一酸化炭素などの有害物質を発生するので、その濃度を測ることによって、火災が起こっている場所を特定します。

火元が特定できたら、次にやるべきことはその火元周辺にある電気機器の電源を落とすことです。
大抵の火災は、この処置を行うことによって自然に鎮火するはずです。
前述したように、酸素が自動的に供給されないからです。

今回のシナリオでは、その処置を行っても消火が確認できなかった為、ラック内に消火器で二酸化炭素を噴射して、完全に鎮火したのを確認したところで試験が終了しました。

試験のあとにはすぐデブリーフィングが行われましたが、不具合事象に対して適切に対処できていたという評価を頂いて、無事に合格することができました!
これでコロンバスモジュールのオペレーターとして認定されたことになるので、9月にまた戻ってくる時は、スペシャリスト認定を目指して訓練に臨むことになります。


(出展:JAXA)
(出展:JAXA)


 
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