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2016年1月 5日
2016年の訓練が始まりました。
まずはヒューストンでの3週間の訓練です。
今日の午前中は宇宙医学実験に関する訓練が2つあり、午後はロシア語と英語の授業、ISSでの火災発生時に用いる「火元特定アプリ」の使用方法の復習がありました。
初日から盛りだくさんです。
宇宙医学実験のうちの1つは、「Fluid Shifts(体液シフト)」という名前が付けられた実験です。
これはNASAだけでなく、ロシアとも協力して研究しているテーマで、私が担当する宇宙実験の中でもかなり大掛かり、かつ費やす時間も多い実験です。
簡単に言ってしまうと、無重力状態によって私たちの体内の液体(血液など)が身体の上半身へ移動(シフト)することによる様々な症状・影響を、色々な側面から調べようというものです。
そうして得られた知見を、今後の長期滞在だけではなく将来のISSより先を目指す宇宙探査に生かしていこうという狙いです。
今日の訓練では、その色々な側面の1つ、脳圧(頭蓋内圧)を測定する装置について学びました。
脳圧というのは、頭蓋骨の内部の圧力のことです。
無重力状態で長期滞在をするうちに、この脳圧にどのような変化があるか、またそれが体液シフトに起因するものなのかを調べます。
インストラクター「脳圧を測定するには2つのやり方がある」
私「ほほう」(←医学に関してはド素人)
イ「耳の鼓膜内の圧力から間接的に測定するやり方と、頭蓋骨にドリルで穴を開けて直接測定するやり方だ」
私 Σ(゚д゚lll)ガーン
イ「今日はドリルで穴は開けないので安心してほしい」
私(・・・開けられちゃ大変だよ!)
というわけで、前者のやり方で測定するそうです。
耳の鼓膜内の圧力と脳圧の間には相関関係があるらしく、鼓膜内の圧力を測定することで間接的に脳圧を測定することが出来るとか・・・
すみません、難しくこれ以上の原理的なとこは理解出来ませんでした。
測定には写真のように、ヘッドセット型の装置を使用します。
耳に差し込んだイヤフォンから耳に圧力が加えられ、それによって鼓膜がどう動くかを測定します。
鼓膜の内外の圧力が等しい時に鼓膜はどちらにも偏らずに平らになるので、その時のイヤフォンにかかっている圧力から、鼓膜内の圧力、ひいては脳圧がわかるというものです。
今後もこのFluid Shifts(体液シフト)実験については多くの訓練や、ISSでの実験が予定されているので、その都度ご紹介していきたいなと思います。
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