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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年5月12日

(出展:JAXA)

今日の午前中は、ソユーズのナビゲーション「КУРС」(クルス)に関する座学と、セントリフュージ(遠心機)を使用した手動降下操縦訓練がありました。

クルスは電波を使用して、ISSとのドッキングまでソユーズを導くナビゲーションシステムです。
ソユーズとISS双方にアンテナなどの機器が搭載されていて、双方間で電波をやり取りすることによって、相対距離や速度などを測定するのがその主な役割です。

先日少し書きましたが、MS型機では新型クルスが搭載されます。
GPSによるナビゲーションが開始されるのに伴い、クルスは省機能化・高性能化が進みました。
一見矛盾しているようですが(;´∀`)
つまり、アンテナの数を減らしたり、GPSで代用できる機能は省き、残りの機能は新しいテクノロジーで高機能した、ということです。
これによって、小型・軽量化も進み、重量は従来の半分くらいになっています。
軽量化は宇宙機にとって至上命題の1つですので、これは大きいですね。

セントリフュージを回しての訓練は久しぶりでした。
バックアップクルーとして臨んだ手動降下操縦の試験の時以来ですから、昨年の11月以来です。

金曜の試験前最後の訓練です。
最初の1本目は、セントリフュージを回さず、静止した状態で実施しました。
予定よりも少し手前で大気圏に突入するというケースです。
この場合、カプセルの揚力を増やして、より遠くに降りるように調節すればいいわけですが、あまり早くから揚力を増やしていくと、後半の大気の層が厚くなってくるあたりで重力加速度Gが大きくなりすぎてしまいます。
なので、序盤は揚力をあまり増やさず、後半に増やしていって体にかかるGを軽減させようとしました。

結果は見事なアンダーシュート(予定より手前の地点に着陸すること)。

序盤揚力を抑えすぎて、後半とても挽回しきれなくなるというパターンにハマってしまいました。
予定より18km手前に降りました。
誤差が10kmを超えると、その程度によって減点されていくので、18kmは大減点です。
大減点と言っても、試験に落ちるほどではありませんが。

2回目からは、セントリフュージを回します。
2本Gをかけては1本静止した状態で、というのを繰り返し、最終的には9本のランを行いました。
5本が回転有り、4本が静止状態です。
今回の最大Gは、4.2Gでした。

9本のうち、減点されたのは2本。
いずれも着陸地点からのズレによる減点です。
これで次は試験になるわけですが、あまり心配はしていません。
試験は一発勝負ですが、満点を取れればベストですが減点されても生命が危険にさらされるわけではありませんし。
大事なのは、自分の納得のいく操縦が出来たかどうかかなと思います。
そういう意味では、9本とも自分なりに良いイメージを持って臨めたので。

セントリフュージで回っている間は、心電図や脈を医師の方がモニターされているので、自分の緊張状態など全て筒抜けになっています。
自分では平静だと思っていても、医学データは嘘をつかないようです。
後で「緊張してた?」と聞くと、「今日は落ち着いてたわよ。11月の方がひどかったわね」と言われました。
やはり試験ということで、緊張していたんですかね。
金曜は頑張ります!


セントリフュージで回されているところ。この中で、カプセルの操縦を行っています。(出展:JAXA)
私の操作を見守るインストラクター陣(出展:JAXA)


 
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