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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年6月 4日

その1

ジョンソン宇宙センター内の道路は、鹿さん優先です。


(出展:JAXA)
(出展:JAXA)


その2

今日の午後は、軌道上メンテナンス作業のオペレーターレベルの試験がありました。

軌道上メンテナンスといっても、様々です。
装置が壊れた時に交換したり、修理したり、新しい装置を取り付けたり。
それらの作業を問題なく実施するだけのスキルがあるか、というのを見られる試験です。

オペレーターレベル、というのは少し補足が必要でしょう。

現在、ISSには基本的に6人の宇宙飛行士が滞在しています。
アメリカ区画要員としては、3人です。
その3人で、各モジュールや各システム、各タスクを役割分担します。
そうすることによって、訓練が短縮化、効率化できます。

例えば、滅多に発生しない作業などは、3人全員が訓練を受けておく意味はあまりありません。
3人のうちの1人がやり方を知っていればいいわけです。

役割分担は、受ける訓練のレベルによって、3つに分けられます。

ユーザーレベル・・・一番初歩のレベル。安全上の最低限、生活するうえでの最低限のレベルの訓練です。

オペレーターレベル・・・真ん中のレベル。地上との連係によって、通常の作業は問題なくこなすことができるレベルです。小さな不具合には自ら対応することが可能です。

スペシャリストレベル・・・最上位レベル。多少の不具合なら、地上からの助けなしに対応することが可能です。

私とケイトの場合で具体例を挙げると、アメリカのモジュールに関してはケイトがスペシャリストで、私がオペレーター。
対して、「きぼう」に関しては私がスペシャリストで、ケイトがオペレーターといった具合に役割分担します。

今日は、軌道上メンテナンス作業に関する、そのオペレーターレベルの試験があったというわけです。

試験では、冒頭の口頭試問のあと、模擬タイムライン(スケジュール)に従って、実際にメンテナンス作業を行いました。
インストラクターの1人が地上に管制官役に扮して、地上との交信もできる限り再現します。

メインのタスクは、故障が疑われるある装置を取り外して、簡単な作動テストを行うというものです。
が、その途中、インストラクターによって意図的に様々な不具合が仕込まれています。

例えば、最初にタスクで使用する工具を集めにISSの工具箱(写真参照)を漁りましたが、いくつか工具が見当たりません。
これは実際に軌道上でもよく起こる問題です。
物をすぐ横に置いておいてもなくならない地上とは違い、道具をちょっとその辺に置いておくというのが宇宙ではできません。
必ず固定しておかないと、フワフワとどこかへ漂っていってしまいます。

使用する予定だった工具が見つからないので、他の工具を組み合わせて同じ機能を得られないかを考えます。
幸い、径の異なるラチェットレンチにアダプターを接続すれば、代替工具として使用することができそうです。

不具合が発生した場合に地上に報告するとき、いくつか重要な報告事項があります。
それは、何の手順を実施している時にどんな不具合が発生したのか、代替案はありそうか、その代替案でタスクを続行する自信はあるか、写真は撮ったか、などです。
特に写真を撮って地上に送るのは、非常に重要です。
地上は私たちの報告によってしか不具合の状況をしることができないので、「百聞は一見に如かず」というわけです。

いくつか工具が行方不明になっていた以外にも、ネジが外れなかったり、コネクターの間に不純物が挟まっていたり、手順書とは違うネジが使用されていたりと、細かい不具合が次々に起こります。
その1つ1つになるべく丁寧に対処し、地上と連係を取って問題を解決していきました。

結果は、無事に試験に合格できました。
これで軌道上メンテナンス作業に関してのオペレーターレベルの資格を得ることができました!


これがISSで使用されている工具箱(の一部)です(出展:JAXA)
より特殊な工具は、それぞれ用途ごとににキットに分けられています(出展:JAXA)

左のテーブルに乗っている装置の取り外しとテストを実施(出展:JAXA)


 
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