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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年4月30日

(出展:JAXA)
ソユーズの居住モジュール。実際は荷物が搭載されるので、ここもかなり窮屈になります(出展:JAXA)

引き続き、昨日今日とソユーズの訓練を中心に進んでいます。

MS型機の衛星通信システムに関する座学、実習、手動操縦によるドッキング操作訓練、ソユーズの総合シミュレーション訓練などがありました。

MS型機の手動操縦の訓練はこれでもう5回くらいになりますが、操作感の違いにはだいぶ慣れてきました。
人間の慣れってすごいですね。
従来機と比べて確かに難易度は上がっていると思いますが、そこは私のパイロットとしてのバックグラウンドが十分に生かせているところかなと思います。
そもそも、従来機の訓練を受けていない飛行士などは、これが彼らにとっての「普通の難易度」になるのでしょうね。

さて、シミュレーション訓練は2回目になります。
前回打ち上げから軌道投入のあたりをシミュレーションしたので、今日はISSとのランデヴーの部分を2回やりました。

新しくなった航法システム『クルス』の挙動を確認できました。
そのクルス、ISSまで15kmとなったところで、上手く作動しなくなりました。
もちろん、これは訓練としてシミュレーションされている不具合です。
原因不明で、2つある系統の間で切り替わったりを繰り返しています。
後から聞きましたが、これはISS側のクルス機器の故障だったようです。
ソユーズ側とISS側の機器で情報を交換しながら作動しているので、片方が故障していると、当然もう片方も上手く作動しなくなるというわけです。

当時の私たちにはそこまでの情報はわからないので、手の打ちようもなく、とりあえず状況をモニターしながらランデヴーを継続しましたが、5kmまで近付いたところで自動ランデヴーが中断されました。
これはクルスが正常に作動していないためで、これ以上クルスなしでISSの近くに進入することを危険、とメインコンピューターが判断しているわけです。

アナトーリと、手動操縦に切り替える要件を満たしていることを確認して、手動に切り替えました。
操縦を担当するのはコマンダーのアナトーリで、私の役目は居住モジュールに移って、そこからレーザー測距器でISSまでの距離と相対速度を測ることです。

狭いカプセル内で、中央に座っているアナトーリを避けて居住モジュールに移るのはなかなか一苦労です。
居住モジュールへのハッチはカプセルの内側に開くようになっているのですが、そもそもハッチを開けるとアナトーリの前面のディスプレイをほとんど覆い隠してしまうほどの狭さです。

ISSにドッキングする際は、私もカプセルに戻らなければいけませんので、アナトーリがドッキングポートの手前250mまでソユーズを持って行ったところで、測定はおしまいです。

再び、狭いカプセル内でアナトーリの頭を蹴らないように注意しながら、自分の座る左席に戻りました。

アナトーリの操縦はいつ見ても感心するくらい上手です。
今回も、とても安定したドッキング操作で、無事にISSとのドッキングに成功しました。

日本の皆さんは、GWに突入ですね。
ロシアも、メーデーがあるので今週末は4連休です。
色々と溜め込んでいる打ち上げ前の準備を、この機会にやっておこうと思います。



 
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