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2015年3月27日
昨日は午後にクルー3人揃ってのソユーズのシミュレーション訓練がありました。
今回が3人で臨む2回目の訓練になります。
ソコル宇宙服は今回は着ません。
訓練は先週のシミュレーションから続くシナリオで行われ、ISSとのランデヴーに入るところからスタートです。
ISSまでの相対距離80km。
ナビゲーションシステムの起動、動作確認などが順調に行われていくのを確認していきます。
最初の不具合は、船内の酸素濃度を自動でコントロールするシステムの故障でした。
通常であれば、酸素濃度が一定以下になると自動で酸素を供給するバルブが開くようになっているのですが、それが開きません。
幸い、この時はワークロードも高くなく、私がそのバルブが開くのを注意して見ていたのもあって、すぐに気付くことができ、手動でのバルブ操作に切り替えることによって解決しました。
ちなみに、この手動のバルブ操作はライトシーターのケイトの役目です。
ソユーズの操作にライトシーターが関わることはほとんどありませんが、このバルブはその数少ない操作の1つです。
その後も小さな不具合がいくつかあった後、ISSまで400mまで接近して、フライアラウンド(Fly around)と呼ばれるフェーズに入りました。
これは、ここまでISSに向かってとにかく相対距離を詰めるように飛行してきたソユーズが、ドッキングするポートの正面に回りこむフェーズになります。
以前にもお話しましたが、基本的にソユーズのドッキングは自動で行われるので、ここでも私たちはシステムが正しく作動していることを確認するのが主な仕事です。
そうして、ISSまで200mあたりまで近付いて、フライアラウンドを行っている途中で、宇宙船のメインコンピューターの故障を知らせる警報が鳴り響きました。
このメインコンピューターは宇宙船の頭脳とも言える重要な機械で、ソユーズの自動操縦はこれなしでは行えません。
必然的に手動操縦に切り替えるしかなく、ここでアナトーリがコントローラーを操作して手動で150mのところまで無事に持っていきました。
そこでしばらく静止した後、地上から最終進入の許可をもらい、ドッキングへのアプローチを開始。
彼が操縦に専念しているので、システムの操作や監視は、レフトシーターの私の仕事です。
と、その時視界の片隅で、1つの数字が変わっていくのを捉えました。
船内の圧力表示です。
圧力が下がっていました。
1秒間に2mmhgというかなり速いテンポです。
もちろんドッキングの継続は断念せざるを得ません。
地球への緊急帰還をすぐに決断し、ここからは時間との戦いです。
先ほどのメインコンピューターの不具合があるので、軌道離脱噴射も全て手動で実施してやる必要があります。
その手順も進めつつ、並行して急減圧に対する対処も進めていきます。
通常は、何か操作をするときはアナトーリと私で相互に確認しあうのですが、さすがにこの時ばかりはそれをやっている余裕はないので、分業せざるを得ません。
船内の圧力が危険レベルに低下するまでの間に、必要な処理を済ませ、ソコル宇宙服のヘルメットを閉めれば(実際は着ていませんので、あくまで模擬ですが)、ひとまず急減圧の処置は完了です。
その後、手動でメインエンジンを噴射し、無事に地上に帰還することができました。Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency | SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約 |