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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年9月10日

(出展:JAXA)

今日の午前中は、ケイトと組んでシグナス宇宙船をロボットアームでキャプチャーする訓練を行いました。

ロボットアームの操縦者と補佐者の役割を2人で交替しながら、それぞれ4回ずつランをこなし、いずれも無事にシグナスをキャプチャーすることが出来ました。

訓練はISSの窓、「キューポラ」と呼ばれるモジュールを模擬したシミュレーターで行います。
実際にISSでキャプチャーする際も、クルーはこのキューポラからロボットアームを操縦します。

訓練にはシグナスまでの距離5mから始まるものと、2mから始まるものの2種類があり、前者はどちらかというとクルー同士の掛け合いやシステムの不具合への対処訓練、後者は純粋にロボットアームの操縦技術を磨くことに重点が置かれています。

まずは5mランです。
シグナスはほぼ静止しています。
そのままロボットアームを近付けていって、3mまで近付いたところでシグナスの制御を全てオフにします。
この状態を「Free Drift(フリードリフト)」と呼びます。
これは、キャプチャーする瞬間まで宇宙船が自分の制御で動いていると都合が悪いからです。
極端な話、アームが掴もうとした瞬間に宇宙船が姿勢制御の為にスラスタを噴射したら、下手をするとアームと接触して壊れてしまうかもしれませんよね?
そういった事態を防ぐために、HTVでもシグナスでもドラゴン宇宙船でも、ロボットアームでキャプチャーする寸前に必ず宇宙船の制御をオフにする手順になっています。
制御をオフにされた宇宙船は、その瞬間の慣性を維持したまま、文字通り宇宙空間を漂い始めます(フリードリフト)。

今回はほぼ静止した状態で制御をオフにしたので、フリードリフト状態になってもシグナスはほぼ静止しています。
細かい修正だけで基本的にロボットアームを真っすぐ近付けていけば良いので、これは難なくキャプチャー・・・・となるはずが、キャプチャーボタンを押して、ロボットアームの先端がシグナスのピンを取り込んで固定しようとしたところで、ロボットアームのシステムに不具合が。

ピンを固定する動作が最後まで完了出来ません。
途中でアームの動きが止まってしまっています。

定められた不具合対応手順に従って、ロボットアームをバックアップ系統に切り替えて、無事に固定操作を完了しました。
宇宙船のキャプチャーのようなクリティカルな操作では、ロボットアームのシステムもメインとバックアップの2系統が両方いつでも動けるようになっていて、このような不具合が発生した場合もすぐに一方から他方に切り替えられるようになっているのです。

続いて、2mのランを3回。
前述の通り、これはアームの操縦技術を磨くための練習モードなので、シグナスもじっと静止していてくれません。
フリードリフト状態になった時の慣性をそのまま維持して、ゆっくりと移動・回転しながらアームからズレていきます。

シグナスの動きにアームの動きを同調させながら、距離を詰めていってキャプチャーしてやる必要があります。
これは、なかなか難しいです。
UFOキャッチャーで、狙っているぬいぐるみが動いているのを想像して頂ければ、近いかと思います。
キャプチャーする瞬間まで、その動きを追い続けてやる必要があります。

訓練ではこのような難しいモードで練習していますが、先日のHTV5号機のキャプチャーをご覧頂いた方はお分かりかと思いますが、実際の宇宙船はかなりの精度で静止してくれるようです。
厳しい訓練で培った自信があるからこそ、本番でも力をしっかりと発揮できるのでしょうね。

このキャプチャー訓練については、是非1度動画でもご紹介したいところです。


(出展:JAXA)
(出展:JAXA)


 
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