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2015年2月26日
昨日のアンモニア漏れへの対処訓練の模様です(写真は全てNASA撮影)。
ISSの緊急事態への対処訓練、二日目の今日は火災への対処です。
ISSで火災が起こった場合の基本的な流れは以下のとおりです。
①安全な場所へ避難
②火元の特定
③消火活動
④空気の正常化処置
1つ1つの項目について、もう少し詳しく見ていきましょう。
①安全な場所への避難
ここで、「安全な場所」とはどこか?ということになるのですが、色々な要素を考慮し、その場の状況に応じて決定します。
その色々な要素の中で重要なものとしては、火元から十分離れていること、正常な空気が保たれていること、ソユーズへの避難経路が確保されていること、地上との通信手段があること、システムをコントロールできる端末があること、などが挙げられます。
②火元の特定
ISSには煙探知機をはじめとする火災探知機が各所に配置されていますので、それらの探知機が作動した場合は、火元はその探知機の周辺ということになります。
またクルー自身が煙を視認したときなども火元の大体のエリアはわかります。
通常、火災が発生するにはその原因となる電気的なトラブルがあることがほとんどなので(回路のショートなど)、火災の発生とほぼ時を同じくして発生したシステムの故障アラームがある場合、そのシステムが火元である可能性が俄然高くなってきます。
以上のような状況を総合して、火元と思わしき箇所を特定した後、実際にその箇所の一酸化炭素濃度を測定して、そこで間違いないことを確認します。
③消火活動
火元が判明したらまず行うことは、そのエリアにある全ての電気機器をシャットダウンします。
それによって大抵の場合、火は自ずから鎮火するとされています。
なぜなら、ISSでは火災探知と同時に全ての換気システムが停止します。
そうすると空気の対流が起こらなくなるので、火災源は周囲の酸素を消費しつくしたあと、自然と消えてしまうからです。
地上火災では熱対流によって火元にはどんどん新しい空気が供給されるので、こういうわけにはいきません。
この点が、ISSでの火災と地上火災との大きな違いと言えるでしょう。
もしそれでも鎮火しなかった場合は、消火器の出番です。
ISSでは二酸化炭素を噴出するタイプと、水を霧状にして噴射するタイプの2種類があり、火災の状況に適した消火器を使用します。
写真は二酸化炭素型の消火器のセットアップを行っているところです。
④空気の正常化処置
火災の鎮火を確認した後は、ISSを元の状態にもどすため、空気を正常化してやる必要があります。
燃焼によって生じた有害物質などを、フィルターで吸収するのが基本的なやり方ですが、鎮火さえすればその先を急ぐ必要はありませんので、その後の具体的な手順はクルーと地上が緊密に連係をとって進めていくことになるでしょう。
今日の4時間の訓練では4つのシナリオを実施し、それぞれ③の消化活動を終えるところまで訓練しました。
シナリオを終える毎にデブリーフィングを行い、何が良かったか、何が良くなかったかを話し合うことによって、それをすぐ次のシナリオに活かす事ができたので良かったと思います。
最終日の明日は、ISS船内の空気漏れへの対処方法について訓練を行います。
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