このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。

<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。

サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年2月25日

ISSゆうがいへの対処訓練(出典:JAXA)

ISSの緊急事態への対処訓練が始まりました。
初日の今日は、有害物質漏れへの対処です。
被訓練者はアナトーリ、ケイト、私のソユーズ47Sクルー3名。
インストラクターチームは各システムから2名程度参加してきており、総勢20名弱の大編成です。

訓練は基本的にISSのモックアップで行われ、私たちクルーは各シナリオの開始時に自分の居場所を指示され、メンバー全員が所定の位置についてからシナリオがスタートします。
シナリオの内容は私たちクルーには知らされません。

私たちの側には、2,3人のインストラクターだけが付き添い、適宜質問や助言を行います。
その他のインストラクターは、コンソールのモニター越しに私たちの行動を観察します。
1人1人にワイヤレスマイクが手渡され、それによって私たちの会話も全てインストラクターに筒抜けになります。
休憩時間にトイレに行くときは、このマイクを忘れずにオフにしなければ大変なことになります。

さて、有害物質漏れについてです。
ここでいう有害物質には多くの種類があって、それぞれ危険度によってハザードレベル 0~4まで分類されており、そのレベルに応じた処置を行います。
中でもアンモニアはその危険度から別格の扱いとなっており、手順書も独立して存在します。
ISSの緊急事態のうち、唯一クルーの初動動作が記憶するよう義務付けられているものでもあります。

以下、以前の投稿からの引用になります。
「アンモニアはISSの外部冷却システムの冷媒として使用されています。
対して内部冷却システムの冷媒には水が使われています。
船内で発生した熱は水によって集められ、熱交換器でアンモニアへと受け渡され、放熱板から宇宙空間へと放出されます。
何らかの原因でそのアンモニアが内部冷却システムに流入し、船内へと漏れてくる事態が緊急事態として想定されているのです。」

具体的な対処について見ていきましょう。
まずアンモニア漏れの検知方法ですが、

・システムによる自動検知
・地上の管制チームによる検知
・クルー自身が鼻で検知

の3パターンがあります。どのパターンで検知されても対応は一緒です。

①各クルーは一番近くにある酸素マスクを装着
②警報装置を作動させる(もし自動で作動していなければ)
③アメリカ区画から避難し、ハッチを閉める
④衣服がアンモニアによって汚染されていれば、そこでその衣服を脱ぎ捨てる
⑤もう1枚外側のハッチも閉める
⑥酸素マスクから、アンモニア専用のマスクへの切り替え
⑦ロシア区画のアンモニア濃度を測定し、その値によってそのままロシア区画に留まるか、ソユーズに避難するかを判断。ソユーズ内の空気まで重度に汚染されている場合は、そのまま地球に緊急帰還もありえます

1つ1つのシナリオは20分から40分といったところ。
その前と後にそれぞれブリーフィングを挟んで、各メンバーの対応について、チームとしての対応について、インストラクターチームから講評を受けます。

今回がチームとして受ける初めてのこの種の訓練でしたが、今後数回の訓練の後、最終的にはもう1機のソユーズクルーと合同で6名による訓練が行われることになります。

明日は火災への対処訓練が待っています。


ISS空気汚染への対処訓練 インストラクターコンソール(出展:JAXA)


 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約