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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2015年5月 5日

(出典:JAXA)

今日は終日、NASAの巨大プールで船外活動の訓練がありました。

例によって朝からがっつりカレーを食べ、お陰で約6時間の水中での訓練中、お腹が空くことなく最後まで頑張れました。
毎回毎回、最後の方になるともうヘトヘトという感じなのですが、ベテランのシェインに聞いてもそうらしいので、あんまりその辺は気にする必要はなさそうです。

金曜に書いた通り、今日はメインのタスクが2つあったのですが、どちらも順調に終えることができました。
一番勉強になったのは、それらのタスクではなく、合間に実施された「Incapacitated Crew Member Rescue」という科目です。
これはどういう科目かと言うと、何らかの原因で心神喪失状態になった相棒を救助して、エアロックまで緊急帰還する、というものです。

SARJ(サージ)の故障した部品を取り替えるタスクを行っていた時、急にシェインが静かになった(しゃべらなくなった)なと思って、すぐ近くで作業をしているはずの彼の方を見ると、水中でプカプカ浮いていました。
これは彼にだけ聞こえるインターコムでインストラクターから指示があって、心神喪失状態を装っているのです。

そこから科目がスタートです。
ちなみに、30分以内にエアロックまで戻ってハッチを閉めなければなりません。

まず最初に考えなければならないのは、2人の命綱のコンフィギュレーションです。
通常、1人のクルーに対して1本のリール式の命綱がエアロックから延びています。
これをセーフティー・テザーといいます。
これとは別に、クルーが作業場所で自身で設置する短い命綱があり、これはローカルテザーと呼ばれます。

もう1人のクルーを引っ張ってエアロックまで戻る上で、セーフティーテザーが2人分あったのでは、途中でからまってしまうリスクが非常に高いので、どちらか1人のセーフティーテザーを残して、もう1本は置き捨てていかなければいけません。
もちろんその前に、自分の余っているテザー(綱のようなもの)を相手の体に取り付けて、2人が離れ離れにならないようにします。

今日はそうして私のテザーをシェインに取り付けて固定した後、シェインのセーフティー・テザーとローカルテザーを外す時にミスをしました。

ローカルテザーはシェインが持っていたもので、彼が作業を行う時に自分でその場所に設置した命綱ですが、彼を連れて帰るためには当然それを外さなければいけません。
本来であれば、作業場所から外したテザーを彼の宇宙服に戻してやるのですが、この時は私のいる位置からアクセスしにくい場所に設置されていたので、私の判断で彼の宇宙服についているテザーの手元の方を外して、そこに置き捨てていったのです。
うーん、言葉で説明するのはとても難しいですね。
わかりにくかったらごめんなさい。
雰囲気だけでも伝わるといいのですが・・・・(^^;)

自分が大変なミスをしでかしたことに気付いたのは、エアロックに戻ってからでした。
エアロックに着いて、いざシェインの体をエアロック内に押し込もうとする時になって、先ほど置き捨ててきたシェインのテザーがそこで必要なことに気付いたのです。

痛恨のミスです。
初歩的なミスと言ってもいいかもしれません。

エアロックは非常に狭くて、2人が入るともう一杯のスペースなので、通常は相手のテザーをエアロック内に取り付けて、その時点で自分と相手を繋いでいるテザーを外してやることになっています。
そうして行動の自由を確保してから、相手の体をエアロックに押し込んで、そのあと自分がエアロックに入ります。

私は、自分のミスのせいでシェインと自分を繋ぐテザーを外すことができずに、不自由なままエアロックへの入室を試みる羽目になったのです。

結論から言うと、これ自体は不可能ではなく、一応可能ではあります。
実際、私も不自由ではあるものの、悪戦苦闘の末、何とかエアロックに2人とも入ることができました。
ただ、その間に貴重な時間も、そして余計な体力もかなり消費してしまいました。
科目のスタートからエアロックのハッチを閉めるところまで25分でしたが、あのミスがなければもっとスムーズにいっていたはずですし、最悪の場合はもっと時間をロスしていた可能性もあります。

ミスをしてしまったことは取り返しがつかないので、今回の教訓を将来に生かしたいですね。
ある意味、ミスのお陰で今日は多くのことを学ぶことができました。
マニアックな話でごめんなさいっっ



 
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