このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。
<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。
2015年8月18日
今朝起きて、なんか肌寒いなーと思ったらそれもそのはず、なんと気温12度。
ロシアはもう秋がすぐそこまで迫っているのでしょうか (゚д゚lll)
今日は昼前から再びズヴェズダ社へ出かけることになっていたので、少し早めの昼食です。
出張者の方が置いていって下さった、そうめんを頂くことに。
茹で上がりのそうめんを冷やす水道水の冷たいこと冷たいこと。
おかげで美味しいそうめんを食べられました。
前回のズヴェズダ社訪問については、こちら。
大西宇宙飛行士Google+日記(2015年1月13日)
今回の目的は真空チャンバーでの減圧体験です。
もともと、ソコル宇宙服は船内の気圧が抜けてしまったときに、地球に帰還するまでの間、クルーの生命を維持する為に開発されたものです。
船内が真空になっても、宇宙服には酸素が供給され、0.4気圧程度を維持できるようになっています。
ソコル宇宙服に着替え、チャンバーの中のシートに押し込められます。
分厚い扉を閉めて、いざ訓練スタート。
普段シミュレーション訓練でソコルを着用する時との違いは、周囲の気圧です。
シミュレーター内は常に1気圧なので、ソコルの着用状態を模擬する為に、逆に1.4気圧まで加圧しています。
それが今回は、チャンバーの中はほぼ真空に近い状態になるので、ソコルの中は0.4気圧まで下がります。
ゆっくりとチャンバー内の気圧が下げられていきます。
0.4気圧まで下がるまでは、ソコル宇宙服の中もそれに応じて下がっていくので、変化はありません。
それ以降は、宇宙服の中は0.4気圧が維持されるので、チャンバー内の圧力がさらに下がるに従って、宇宙服が膨らみ始めます。
チャンバー内がほぼ真空状態(約8mmHg=0.01気圧)まで減圧される頃には、宇宙服内は約0.4気圧=約315mmHgを維持したままで、パンパンに膨れ上がります。
膨らむ前と膨らんだ後の写真を貼るので、ぜひ比べてみて下さい。
その状態で、なんと2時間。
ヘッドセット越しに聞こえる声以外は音もない世界で。
人間が生身では生きていけない世界で。
宇宙服に身を包まれて横たわり、ただひたすらその2時間が過ぎるを待ち続けます。
不思議と恐怖はありません。
もちろん、万が一の事態に備えて何重にも安全設計がなされているので、例えば宇宙服に穴が開いて酸素が漏れ出しても、それ以上のレートで酸素が供給されるようになっていて、身の危険はありません。
不満はと言えば、パンパンに膨れ上がった宇宙服によって圧迫されるひざ裏の部分が痛くなってくるのと、換気の止まった宇宙服の中は蒸し風呂のように暑くなることでしょうか。
多少まどろみながら、それでも長く感じる2時間が終わりに近付いたころ、チャンバーの小窓から顔を覗かせたエンジニアがヘッドセット越しに話しかけてきました。
「あと5分で2時間だ。
この訓練の終わりに必ずコスモノートに聞いていることがある。
そのソコル宇宙服を信頼することができるかね?」
「はい、もちろん」
「よしよし。これにて訓練を終えて、気圧を戻す作業を開始する」
あれ、あと5分じゃ??
もし「いいえ」と答えていたら、時間延長とかあったのでしょうか
(^^;)
この2時間。
減圧状態を体験するというよりは、自分のソコル宇宙服に対する信頼を築くための時間だったのかもしれません。
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency | SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約 |