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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2017年12月28日



おととい、昨日と、J-COM(ジェイコム)としてコンソールから金井さんと一緒に仕事をしました。

ISS到着から1週間が経過して、船内での仕事ぶりもすっかり板についた様子。
最初は移動も大変なのですが、私が見ている限りでは壁に頭をぶつけたりはしてなかったです(笑)
あ、ちなみに、金井さんは『頭を先にして移動派』でしたね。

J-COMの仕事はクルーと交信することなので、そのシフトは他の管制官と少し違います。
コンソールに入るのが、大体ISSでクルーが起きはじめる日本時間の午後3時(ISSでは朝の6時)で、JAXAが関係するタスクが終わるまでが仕事です(オフコンソールと言います)。

コンソールに入ると、まずは朝礼でクルーに伝える必要のあるメッセージがあるかないかを、情報収集します。
その結果を、ヒューストンにいるCAPCOM(キャプコム)と共有し、朝礼の段取りを確認し合います。

朝礼は、業界用語ではMorning DPC(モーニングディーピーシー)と呼ばれます。
略語好きな業界なので、管制室内の会話でも略語が飛び交います。
ちなみに、DPCはDaily Planning Conferenceの略です。

さてそのMorning DPC。
これもそのお作法がちゃんと決まっていて、最初はクルーからのコールダウンで始まります。地上から先に呼ぶことはありません。
それに対して応答するのはヒューストンのCAPCOMの役割。
そのあと、ヒューストン→ハンツヴィル→ミュンヘン→筑波→モスクワの順に各管制センターがクルーと話をしますが、用件のない管制センターは飛ばすので、大抵の場合はヒューストン→モスクワと繋ぐことになります。

おとといは金井さんと筑波の管制チームとのテレビ会議がありましたが、いつもは静かな管制室にたくさんの人が詰めかけ、金井さんの元気そうな姿を見て嬉しそうでした。

長期滞在ミッションにアサインされる前、金井さんは実験関係の手順書のチェックなどをNASAで担当していただけあって、自分が実際に宇宙で作業してみて感じたことはすぐに地上にフィードバックしてくれます。
これはとても大切なことで、将来のミスの防止や効率性の向上に繋がります。
昨日も実験のサンプルの装置への取り付けについて、「こういう順番で取り付けたほうが作業がしやすいです」と貴重なコメントをくれました。

私がJ-COMをやっていて良かったな、と思うのはクルーの気持ちになって考えることができるので、

(今ここでこの情報が欲しいだろうな)

とか、

(今こういう心境だろうな)

とか想像しながら、それに応じて交信ができることです。
金井さんが仕事をしやすい環境を整える、効率よく仕事ができるようにするのが私の大事な仕事。
そうやってクルーの視点を他の管制官の方々とも共有できるのは、彼らにとっても有益であって欲しいなと思います。

反対に、J-COMをやっていて悪い点もあります。

大画面に映し出され、クルーが宇宙で仕事をしているのを見ていると、うらやましくて仕方がなくなります。

(あそこに帰りたい)と思っている自分に気づくときがあります。

昨日は日本の夜9時頃に私のシフトは終わりましたが、最後に金井さんと交信した時に、

「良いお年を!」

と声をかけると、画面越しに金井さんが親指をぐっと立てて、笑顔で手を振っていたのがとても印象的でした。

皆様も、どうぞ良いお年を♪



 
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