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2016年4月 7日
今日もESAの実験関連の訓練でした。
朝イチはドップラー測定器を使った訓練。
これは、Canadian Space Agency(CSA:カナダ宇宙庁)のVascular Echo(ヴァスキュラー・エコー)という実験で使用するのですが、ドップラー測定器自体はESAのコロンバスモジュールの装備品なので、ここドイツで訓練が行われます。
「ドップラー効果」という言葉はお聞きになった方も多いのではないかと思います。
一番身近な例で言えば、遠くから聞こえてくる救急車のサイレンの音が、自分のそばを通過した途端に少し低い音に変わる現象がそれです。
難しい説明は省きますが、救急車が自分に近付いてくる時と遠ざかっていく時で、音の周波数が変わっているのですね。
この周波数の変化(イコール速度の変化)を捉えるのがドップラー測定器の仕事です。
Vascular Echoの実験では、具体的には血液の流れが作り出す音をこの測定器で拾います。
音の周波数の変化から、血流がどのように変化するかがわかります。
このVascular Echoの前にCSAが実施した別の実験で、宇宙飛行士が宇宙に滞在する間、動脈が硬化することがわかっています。
地上で普通に生活していると、年齢をかさねるに従って同じ現象が起きますが、約6か月の宇宙滞在では、なんと地上の約30歳分(!)に相当するスピードで進行します。
このように無重力での生活が、人間の心肺機能、血液系に及ぼす影響について調べるのがこの実験の目的です。
明日の午前中を使って、この実験の基礎データ取得が行われるのですが、今日は自分でこのドップラー測定器を使って血流を測定する訓練を行いました。
センサーを太ももの血管があるところに付けて固定し、ゴムバンドで足のつま先を引っ張った状態で、つま先を伸ばしたり曲げたりする運動を繰り返します。
1分間この運動を繰り返したあと、ゴムバンドを離して負荷を開放し、その後の血流の変化をドップラー測定器でデータ取得します。
測定器からの音は、イヤフォンで自分で聞くことが出来るのですが、ゴムバンドを離した瞬間から音が大きくなる(血流が盛んになる)のがはっきりわかります。
運動で消費したエネルギーを血液が補充しようとしているのがよくわかって、改めて人間の身体ってすごいな、と思ってしまいます。
お昼前には、先日行った筋肉生検の経過観察がありましたが、幸い経過は良好なようです。
まだ少し階段を上ったり下りたりすると痛みがありますが、今週末には絆創膏も外してよいと言われています。
筋肉自体も数週間で回復するらしいので、本当に良く出来てますよね。
明日で今回のESA訓練も最後になります。
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