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2015年9月24日
ESAでの訓練が無事に終了いたしました。
最終日の今日は、ESAの宇宙実験で私が携わる予定のもの3つについて、訓練を受けました。
そのうち宇宙医学実験のAirway Monitoring(エアウエイ・モニタリング)という実験はかなり大掛かりな実験です。
Airwayというのは気道のことで、この実験では人間の呼気に含まれる一酸化窒素(NO)をモニターします。
気体の成分を分析する機械に息を吹き込んでやると、呼吸の中にどのような気体がどれくらい含まれているかがわかります。
このNOという気体は、肺が炎症を起こしている時に多く発生するという特徴があるので、ホコリや塵が無重力で漂っている宇宙空間では、肺がそれらによって炎症を起こしていないかなどを調べる指標として使える可能性があります。
この実験では、呼気に含まれるNOの量と、血液に溶け込むNOの量を、通常の気圧下やそれより低い気圧下で測定することにより、それらの外的要因がNOの量にどのような影響を及ぼすかを調べ、将来の宇宙ミッションで気道の健康状態を知る為に役立てようというわけです。
この実験が大掛かりなのは、通常より低い気圧下での測定をするために、エアロックを実際に減圧して実験を行うからです。
機器のセットアップや減圧、NO測定などでほぼ1日ががりになる実験です。
訓練のあとには、デブリーフィングがありました。
ここでは、訓練を受けて感じたことを率直に話し合います。
そうして、宇宙飛行士とインストラクターが一緒になって、より良い訓練を作り上げていくのです。
私からは特に昨日のシミュレーション試験についてコメントしました。
やはりせっかくのシミュレーションですから、緊急度の高い不具合も少し入れて欲しい旨、お願いしました。
インストラクターの方々によると、なんでも元々は冷却ループの水漏れを入れるシナリオになっているのだけど、ちょうど昨日の午前中にその訓練を受けたばかりだったので、1日に2回も同じ不具合の対処手順を練習するのは不要だろうという判断で入れなかったそうです。
それでも、シミュレーションでは管制センターとのやり取りまで模擬するので、たとえ訓練でやったばかりの内容でも、入れる価値はあったと思いますよ、と伝えさせて頂きました。
今度ESAに戻ってくるのは、打ち上げ前の3月になります。
「3月にまた会いましょう」
と握手をして、お世話になったインストラクターの方々と別れました。
写真は、ESA恒例の「訓練風景撮影」です。
前からこのGoogle+を読んで下さっている熱心な読者の方々は、これがどういう写真かおわかりですね?(笑)
わからない方は、こちらのリンクをどうぞ。
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