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2015年10月 3日
本来、ケイトと私の役割分担から言うと、カメラ機器のスペシャリスト訓練は私は受けることになっていなかったのですが、ケイトが「あの訓練は受けておいた方が良いよ」と言うので、スケジューラーにリクエストして、スペシャリスト訓練を私も受けさせてもらえることになりました。
早速、木曜金曜と訓練があり、初日は色々な撮影シーンに応じたレンズの選択やカメラのセッティングについて学びました。
例えば、明るい地球をバックにしてISS船内のものを撮る場合、システム機器やケーブルなどのクローズアップフォトを撮る場合、非常に暗いオーロラや星、天の川を撮る場合などです。
私は家ではデジタル一眼の入門機を使用していますが、オードモード以外ほとんど使ったことがなく、まずは専門用語の「絞り値」や「シャッタースピード」、「露出」、「被写界深度」などについて理解するところから、インストラクターが丁寧に教えてくれました。
このGoogle+には、カメラ愛好家の方が多く集っているようですから、皆さんよくご存じなのでしょうが、セッティングをマニュアルでいじってやるだけで全然違う写真になるので、そこが難しいところでもあり、同時に面白いところだなと思いました。
ISSで使われているレンズも、多くの種類があります。
広角から超望遠、マクロや魚眼レンズなど。
それぞれのレンズの得意なシーン、特徴なども学びました。
特に魚眼レンズなどは、普段自分で使うようなことはないので、面白いのなんの。
木曜はそのあとそのままジムに行ったのですが、そこで久しぶりにテリー・バーツ飛行士に会いました。
数か月前にISSから帰還したNASAの飛行士です。
なんと帰還後初めての再会だったのですが、いくつか頂いたアドバイスのなかで、
テリー「今のうちにやっておいた方が良いことを教えといてやるよ。まずはカメラ!ISSに行ってから使い方を練習するのは時間がもったいないから、今のうちから練習しといた方がいいよ。頼めばカメラを貸し出してくれるしね。あとは、画像閲覧・編集ソフトの使い方も練習しておくに越したことはないな」
という、なんともタイムリーなアドバイス(^^)
そして金曜日には、ジョンソン宇宙センターの中庭で実習が行われました。
台車に沢山のカメラ機材を載せて、がらがらと引いていきます。
晴れで、気温は20度後半といううってつけの天気です。
「このクラスが8月じゃなくて良かった」というインストラクターの言葉も頷けます。
まずは色々なレンズの試し撮りから。
16㎜レンズから徐々に望遠側へ。
75-200㎜レンズくらいなら何ともないですが、400㎜レンズともなるとレンズも巨大です。
宇宙では関係ないのでしょうが、レンズの重さを支えながらきっちりとフォーカスを合わせるのは練習が必要ですね。
でも、1 / ISO感度 より速いシャッタースピードを使うという原則を守っていれば、多少不安定でもフォーカスは合いますね。
また、望遠レンズには手ブレ防止機構が備わっているので、それをオンにすれば劇的にフォーカスを合わせやすくなります。
添付の写真は、超望遠の800㎜レンズに、さらに2倍の拡大レンズ(?)を追加して、実質1600㎜の焦点距離で撮影しているところ。
さながらバズーカ砲のようです。
一通りレンズを試した後は、絞り値を固定して撮影対象が手前にあるときや奥にあるときを比較して、被写界深度の違いを比べたり、日陰にいる人物を綺麗に撮影する方法や、太陽光を星型に写す方法などを教わりました。
その時に撮った写真もいくつか添付しますね。
一番驚いたのは、ガラス越しの撮影です。
以前から、ISSにあるキューポラと呼ばれる窓からの地球の撮影では、超望遠の撮影は不可能に近いと聞いていましたが、それを実感しました。
見た目は透明なガラスをレンズの前に置いて、800㎜とかで撮影していると、ぼやーっとした写真になってしまいます。
不思議ですよね。
見た目は本当に透明なんですよ。
キューポラのガラスは多層構造になっているためにこういったことが起こるらしく、綺麗に地表の望遠写真を撮影するためには、ロシアのモジュールか、アメリカのモジュールでも特定の窓から撮影する必要があるようです。
訓練の終わりには、カメラを貸し出してもらいました。
レンズも2本、16㎜魚眼レンズと24-70㎜レンズを借りてきましたので、今週末、少しこのカメラで練習してみようと思います(^^)
それでは、皆さんどうぞ良い週末を♪
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