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2015年7月31日
今日の午前中は、ソコル宇宙服を着てのソユーズのシミュレーション訓練がありました。
打ち上げ前の準備から、ISSとのランデヴーを開始する前の段階までのフェーズをシミュレーションしました。
ソユーズがISSにドッキングするためには、以前は「34周回ランデヴー」が使われていました。
これは文字通り、地球の周りを34回回る間にランデヴーするというもので、1周回には約90分必要ですから、約2日間かけてドッキングすることになります。
現在は、「4周回ランデヴー」が標準になっています。
先日の油井さんの打ち上げでもこの方式が使われましたが、打ち上げからなんと6時間でISSにドッキングしてしまいます。
劇的に時間が短縮された要因はいくつかありますが、大きなものではソユーズロケットによる軌道投入精度の向上があげられるでしょう。
以前は、ロケットによって宇宙船が軌道に投入された後、どういう軌道に投入されたかを確認してから、その後の軌道上でのエンジン噴射が行われていました。
その後、ロケットの信頼性が高まり、打ち上げ後の軌道が十分な精度で予測できるようになったため、最初の2回のエンジン噴射は軌道投入後すぐにあらかじめ決められた量で行うことによって、大幅な時間の短縮が可能になったのです。
言い換えると、色々と無駄を削ぎ落として効率性を追求した結果、「4周回ランデヴー」が可能になったと言えるでしょう。
それを逆に考えると、何か予定と異なることが起きた場合、「4周回ランデヴー」をそのまま実施することはすぐに難しくなります。
そのような場合は、従来の「34周回ランデヴー」に切り替えることになります。
実際、エンジン噴射が予定されていたタイミングで行えずに、急遽34周回でISSにドッキングするプランに変更になったケースが過去に1度あります。
さて、今日の訓練ではこの「4周回ランデヴー」をシミュレーションしました。
現在主流のやり方なので、一番このモードを訓練でも練習するのは、当然といえば当然と言えるでしょう。
その反面、インストラクター泣かせなのが、先に書いたとおりあまり大きな不具合を入れてしまうと、4周回ランデヴーの継続が不可能になって、訓練がそこで終わってしまうということです。
例えば、エンジンの不具合は訓練では非常にメジャーな不具合の1つなのですが、それを入れてしまうと「4周回ランデヴー」の流れを練習するという訓練の大きな目的が果たせなくなってしまうのです。
インストラクターとしては、訓練効果を上げるために次々と大きな不具合を入れたいところなのですが、それが出来ないのは大きなジレンマなのではないかと思います。
というわけで、今日の訓練は比較的平穏無事に終わりました。
ドッキング機構が自動で展開せずに、手動で展開することになったり、燃料を加圧する為のガス系統に不具合が生じたりと、小さな不具合はありましたが、どれもクリティカルなものではありませんでした。
来週は、この続きのランデヴーからドッキングにいたる部分のシミュレーション訓練があるので、もっと色々なものが壊れることになると思います(笑)
明日はセントリフュージ(遠心器)訓練と呼ばれる高加速度Gを経験する訓練があります!
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