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2015年9月 5日
引き続き、宇宙実験の訓練や医学データ取得が行われています。
ちょっと変わったところでは、昨日の朝イチで行われた検査で、平衡感覚・バランス感覚能力を測定されました。
これは可動式の足場の上に立って、どれだけ安定して姿勢を保ち続けることができるかを調べるテストです。
腕は胸元で組んで、顔は正面を向いて壁に開いた穴を見つめます。
指示に従って、目を閉じたり開いたり、首を上下に振ったりしている間に、足元の床が前後に動いたり前後に傾いたりします。
当然、姿勢がそこで乱されるわけですが、その際に体の挙動をセンサーで検知して、どの程度姿勢が乱れたか、どれだけ早く元の状態に戻ったか、などを点数化して能力を評価するようです。
まず、目が開いているか閉じているかで、全然変わってきます。
当たり前ですが、目を閉じているときの方が姿勢を保つのはずっと難しいです。
人間のバランス感覚が、いかに視覚に依存しているかということでしょう。
一番難しかったのは、目を閉じて、首を上下にゆっくりと動かしているあいだに足場を傾けられた時です。
視覚情報も得られず、三半規管が首の運動の周期に合って反応している時に、体を傾けられたので、一瞬自分の体の傾きが正確に判断できず、こけるかと思いました。
幸い、その感覚は一瞬で過ぎ、何が起こったか理解できればそのあとは姿勢を保つことができましたが、これには思わず、
「ちょっ、なんてことすんの!?」
と声に出てしまいました(笑)
担当者はクスクス笑いながら、
「大丈夫、良い感じだよ」
と言っていましたが。
このテスト、宇宙から帰還した数日後にもやるらしいです。
・・・こけそう(^^;)
もう1つ変わったところでは、昨日の午後に眼圧計(トノメーター)の使用方法についての訓練があり、実際に4名の方にボランティアになって頂き、眼圧を測定する訓練がありました。
使用するのはペンのような形をした眼圧計で、使用方法自体はいたってシンプルです。
電池を入れて、圧力を測定するペン先の部分にカバーをつけ、電源をオンにするだけです。
そしてそのペン先の部分で、人の目の瞳孔の部分(目の黒いところ)を6~7回ツンツンと突っついてやれば圧力が測定できるようになっているのです。
たぶん、ペン先の部分が非常に感度の高い圧力センサーになっているのでしょう。
先日の採血ほどではありませんが、実際に生身の人間にやるとなると、これも大緊張です。
なにせ、目をツンツンですからね。
まず始めに、模型のようなものを使って、ツンツンの仕方を練習した後、インストラクターが
「それじゃあ、最初の『犠牲者』を連れてくるわね」
と言って連れてこられたのは、若い女性でした。
心なしか、表情が硬いです。
無理もありません。
これから数分後に、見ず知らずの人間、しかも医学のド素人に自分の目をツンツンされるわけですから。
最初ということで、まずは本物の医師の方が見本を見せてくれます。
女性にベッドに寝てもらい、目の表面をマヒさせるための目薬を点眼します。
30秒ほどで効果が出るので、そうしたら左手の2本の指で目の上下を押し広げ、右手に握った眼圧計で瞳孔をツンツンします。
ピーッと音が鳴って、圧力が表示されれば成功です。
いよいよ私の番です。
先ほどの見本通りに、左手でしっかりと目を開かせます。
そして眼圧計のペン先の部分を、慎重に、瞳孔に対して垂直になるように、近づけます。
もう本当に、瞳孔に触れるか触れないかくらいで十分な接触が得られるようで、ツンツンを何度か繰り返すうちにピーッと音が鳴って圧力が表示されました。
先ほどの医師がとった値とほぼ同じ値です。
ふーっと肩の力が抜けました。
そのあとも、計4人のボランティアの方々の眼圧を無事に測定し終えました。
インストラクターからは、「上手い!」というお墨付きを頂けたので良かったです。
何より、ミッションのために快くボランティアを引き受けて下さった4名の方々に本当に感謝です。
どうもありがとうございました!
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