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2015年12月12日
12月11日 L-4 days
さあ、まずは油井さん、無事に帰還されましたね!
充実した長期滞在だったのではないかと思います。
本当にお疲れ様でした。
私がいるバイコヌールとは数百キロ離れた同じカザフスタン共和国内に着陸されたのですが、残念ながらお会いする機会はヒューストンまでお預けです。
油井さんが得られた知見を受け継いで、次はいよいよ自分の番です。
まずはその前に、15日のプライムクルーの打ち上げをバックアップクルーとしてしっかりサポートしようと思います。
午前中はモスクワの管制センターのスペシャリストの方々からのブリーフィングがありました。
手順書作成の担当者から、最新の変更点について説明を受け、軌道計算の担当者から、フライトのタイムラインについて説明を受けました。
タイムラインでは、打ち上げ時刻から始まって、各軌道調整のためのエンジン噴射のデータ(噴射時刻や噴射間隔、増速量、噴射の姿勢など)や、いつどのタイミングで地上と交信が可能かなど。
それだけではなく、ランデヴー時には太陽はどちらの方角から照らしていて、どのタイミングで日陰に入って、40mの地点ではライトを点けるとどんな感じにISSが見えるか、などなど。
ドッキングに使うターゲットがどのように見えるかがCGで描かれていて、改めて宇宙機同士のドッキングの複雑さを感じました。
軌道の情報がわかっているISSとのドッキングですら、これだけの情報量を揃えて綿密に、慎重に行うわけですから、それと比較すると「はやぶさ2」のように、対象となる小惑星の精密な軌道データはなく、位置情報すらある程度の誤差を含んでいて、さらに着陸を目指す表面の状態は行ってみたいとわからない、という深宇宙探査の難易度の高さを思うと、まるで麓から遥かな高みの頂きを仰ぎ見るような感覚に襲われました。
午後は運動したあと、油井さんたちの帰還の中継を見る前に、プライムクルーのソユーズインストラクターの送別会がありました。
というのは、彼は明日の朝一番に星の街に帰るからです。
そうして、いざプライムクルーが打ち上がると、彼がモスクワの管制センターのコンソールに座ってクルーとの交信を担当することになっているのです。
このシステムは、私は非常に良いなと思っています。
なぜなら、いつものシミュレーターでの訓練でも自分たちの担当インストラクターと交信しているので、実際のフライトでもその同じ声で管制してもらえるのはすごく心強いですし、安心出来るのではないかと思います。
ちなみに、ロケットの打ち上げから軌道投入までの528秒間は、バイコヌール宇宙基地内から交信を行うのですが、その交信はバックアップクルー(つまり私たち)のソユーズインストラクターが担当します。
そうして、軌道に投入されたあとは、モスクワの管制センターへと引き継がれることになっています。
これまで訓練をずっと共にしてきたクルーとインストラクターですから、そのインストラクターがプライムクルーに向けて言った、「君たちの成功を祈っている。地球に帰ってきたらまた会おう」という言葉は胸を打ちました。
その後は、皆でホールの大きなスクリーンで、ソユーズの帰還中継を観ました。
中継ご覧になった方はご存知かと思いますが、着陸地点の天候が悪く、必要最小限の人員しか送り込めなかったため、着陸後の油井さんの様子がわかるまで、しばらくかかりましたよね。
始めにマイクで拾われた油井さんの声を聞いたときは、ホッとしました。
それからまたしばらく経って、急に画面に油井さんの姿が映ったのですが、「おおーー!!」と思ったのも束の間、すぐに担ぎ上げられて車に収容されてしまいましたね(笑)
油井さんには、これから聞きたいことが沢山あります。
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