2015年8月19日

その1

いよいよHTV5号機の打ち上げまで、あと1日をきりました。

カウントダウン応援写真に、満を持して、こうのとり管制チームが登場しました。

現在の予定では、8月19日（水）20時50分49秒（日本標準時）打ち上げとなっています。

打ち上げのライブ中継は、下記のリンク先からどうぞ。
私は残念ながら丁度訓練の時間なので、観ることはできなさそうです。
皆さん、私の分まで応援して下さい！

宇宙の定期便「こうのとり」5号機／H-IIBロケット5号機 ライブ中継

その2

今朝、9月2日に打ち上げが予定されているソユーズTMA-M 18号機のプライムクルーとバックアップクルーがバイコヌールに向け、星の街を出発していきました。

出発の朝は、恒例の朝食会から始まります。
私も許可をもらって、この朝食会に初めてお邪魔してきました。

朝食会は伝統行事で、プライムクルーが料理と飲み物で見送りの人たちをもてなすものです。
小さな会議室くらいの部屋に、40人くらいの人が集まっています。
皆起立していて、料理を食べている人は誰もいません。
結構豪華な朝食が並んでいるのですが、これはそういうものだそうです。

ガガーリン宇宙飛行士訓練センターのマネジメント、各宇宙機関の代表が参加していて、一人ひとりが簡単なスピーチをして、そのあと乾杯！というのをひたすら繰り返していきます。
最後にクルーからもスピーチがあるので、朝食会の30分ほどの間、ずっと誰かがスピーチをして乾杯が続いていきます。
これが典型的なロシアの宴会スタイルです。
もちろん、ほとんどの人はそのあと仕事なので水で乾杯です。

さあそろそろバスの出発の時間だ、ということで朝食会はお開きに。

私も他の人たちと一緒にぞろぞろと会場を出て隣のエントランスホールに移動しました。
と、みなそのまま外に出るでもなく、おもむろに近くの椅子に腰掛け始めます。
もしやこれは！？と気付いた時にはとき既に遅し。

これぞロシアの慣習。
旅立ちの朝は、家を出る前に必ず一旦みんなで着席、です。
一種の験担ぎのようですが、ロシア語の先生によると、「出発前に一旦落ち着いて、忘れ物がないか確認するうえでもとっても良いのよ」とのことです。
ロシアの方々は、老若男女、本当にこの慣習をしっかりと守っています。

縁起を気にするロシアの人々の、この習慣はもちろん私も知っていましたが、まさかこんな不意打ちのタイミングで！
気付いた時には、立っているのは私1人。

ていうか、椅子は全部埋まってます。
これは大ピンチです。

まさに椅子取りゲームの敗退者さながら、おろおろと慌てた私を見かねた隣のおじさんが、快く半ケツで座ることを提案して下さったお陰で、何とかこのピンチを脱したのでした・・・

全員が着席して、ほんのひと時静寂が訪れます。
時間にして10秒くらいでしょうか。
おもむろにみなが立ち上がり始め、今度こそ出発です。
クルーを先頭に、みんなでぞろぞろとバスの待つ広場へ。

そこでクルーの記念撮影、メディアのインタビューがあり、クルーがバスに乗り込んで出発するのを見送って、朝の一連の伝統行事が終わったのでした。

彼らに続くソユーズの打ち上げでは、私がバックアップクルーとしてあの場にいることになります。

（写真はガガーリン宇宙飛行士訓練センター撮影。向かって右側がプライムクルー、左側がバックアップクルーです）