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2016年2月10日
今日は、ISSロシア区画の火災対処訓練から始まりました。
最初のシナリオは、ロシア区画のコアであるサービスモジュールと呼ばれるモジュールで火災警報が鳴りました。
ロシア区画では、火災探知器として煙探知器が使用されています。
1つのモジュール内で複数の煙探知器が作動した場合、最初に作動した探知器の周辺が火元である可能性が高いので、専用のパネルから最初に作動した探知器の場所を探し当て、火元を確認する手順になっています。
このシナリオでも、その情報に従ってすぐに火元がわかったので、消火器を噴射しました。
1本使っても消火できず、2本使い切ってようやく消火を確認。
その後は、火災発生と共に実行された多くの自動処置を元に戻す作業と、フィルターを使って空気を正常化させる仕事が待っています。
ロシア区画に関しては、私もケイトもユーザーレベルの訓練しか受けていないので、手順の複雑な箇所はアナトーリしか実行できません。
私とケイトはもっぱらロシア区画内を動き回って、スイッチの操作やフィルターの組み立てなどを行いました。
2つ目のシナリオでは、同じくサービスモジュールの煙探知器が作動しましたが、今度はその場所を探し当てても火元が見つかりません。
ポータブルの空気の組成分析器にも、異常な値は検出出来ません。
こういったケースは、煙探知器の誤作動によって起こりえます。
実際のISSでも、割と頻繁にこの誤作動が起こっているのですが、クルーが動いた拍子などにホコリが舞い上がって、煙探知器が誤作動すると考えられています。
3つ目のシナリオは最初のシナリオと同様でしたが、消火器を2本使っても消火できず、最終的にはサービスモジュール自体を退避することになりました。
さて、最後の4つ目。
今度は私たちのソユーズがドッキングしているモジュールから火災が発生しました。
こちらも消火器2本で消火できず、モジュールをシャットダウンしてソユーズへ退避することになりました。
こうなるともうしばらくそのモジュールには戻れませんので、手順では私たちのクルーはそのままソユーズで緊急帰還することになっています。
ここでISSの訓練は終了して、そのままソユーズのシミュレーターに移動して、ここからはソユーズの訓練になります。
ポイントは昨日書いた通り、酸素マスクを着けた状態でソコル宇宙服を着て、さらにソユーズの酸素供給システムに乗り換える部分の練習です。
以前、ソコル宇宙服の着方について写真でご紹介しましたが、そちらを参考に。
大西宇宙飛行士Google+日記(2015年5月16日)
マスクを着けたままで宇宙服を腰の部分まで着て、さらに腕を通した状態まで着用します。
そのあと、息を止めて目を閉じたままマスクを外して、首を宇宙服に通して再度マスクを着用します。
昨日コメントで何人かの方から質問がありましたが、息を止めて目を閉じるのは煙などの有害物質でやられないためです。
こういったケースでは、ソユーズの船内まで煙が充満する可能性が高いからです。
首から上がマスクで密閉された状態と言うのは、めちゃくちゃ暑いです。
マスクの中では、もう汗だくです。
加えて、マスクを被っていると視界が、特に口元の視界がかなり制限されて、宇宙服の紐を結んだりするのも一苦労です。
さらにその状態からソユーズの座席に座り込むのですが、ただでさえ狭いカプセル内が尋常でなく狭く感じます。
宇宙服をソユーズの酸素供給ラインに接続したら、その後はマスクを脱いでヘルメットを閉めてしまえば煙の心配はなくなります。
ただ、この時目をつぶったままマスクを脱いだのですが、そのあとヘッドセットを頭に被ってヘルメットを閉めるときに、ヘッドセットのストラップを挟みこんでしまいました。
ヘルメット自体は普通に閉められたので、うかつにもインストラクターに指摘されるまで気付きませんでした。
ソコル宇宙服の腕の部分には鏡がついているので、ちゃんとそれで首元を確認しないといけませんでしたね。
そのまま放っておいたら、あとの宇宙服のリークチェック(気密性の確認)でひっかかっていたでしょう。
その後は、ISSからのアンドッキングを行い、地球への緊急帰還の手順を実施しました。
訓練が終わって宇宙服を脱ぐと、中の下着が汗でぐっしょりになっていました(;´∀`)
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