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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

2016年6月26日

(出展:JAXA)

その1

6月25日 L-12 days

ソユーズ宇宙船の1回目のフィットチェックに行ってきました。
打ち上げ前に、合計2回のフィットチェックがあります。

バイコヌール宇宙基地のNo.254と呼ばれる建物で行われました。
この建物は見た目は古ぼけていますが、中はとても綺麗で、ソユーズ宇宙船の打ち上げ前の準備が行われる建物です。
パッと見は、どう見てもそんな建物には見えないのですが。。。
打ち上げ前に私たち宇宙飛行士がソコル宇宙服に着替え、ロスコスモス長官に出発の宣誓を行う場所でもあるので、打ち上げの中継をご覧になったことのある方にはお馴染みの建物かと思います。

まずはブルースーツのまま、ソユーズに乗り込みます。
確認項目が記されたリストに従って、居住モジュール内の設備を確認していきました。
電源コンセントの位置や、二酸化炭素除去用カートリッジの保管場所、トイレの状態などを確認しました。
シミュレーターと比べると、やはり全てがとても綺麗です。
2回目のフィットチェック時には、この居住モジュールには貨物がフルに搭載されているので、恐らく印象が全然異なるでしょうが。

続いて、帰還モジュールへ。
狭いので、1人ずつ慎重に帰還モジュールへ降りていきます。
ここでも、一通りリストに従って設備や機器の確認。
こちらもほぼ、シミュレーターと同じですが、ところどころ仕様が異なるものもあり、それらを重点的に確認していきます。
特に、左右2つの手動操縦用のコントローラーの出し入れについては、念入りに確認しました。
これらのコントローラーは、通常潜望鏡の横に収納されているのですが、使用時には引き出して固定しなければいけません。
その構造がシミュレーターではしっかりと模擬されていないので、ここで確認しておく必要があります。
また、コマンダーの座席は少し沈んだ格好になっているので、シートベルトをフルに締めた状態では、これを引き出すことは出来ません。
従って、レフトシーターとライトシーターがそれぞれ1つずつ引き出しと収納を手伝います。
とは言え、私たちの位置からでもシートベルトを締めた状態では、なかなか手が届かないレバーもあります。
私はベルトを少し緩めてやって全てのレバーに手が届きましたが、ケイトはそれでも一番奥のレバーに手が届かず、最終的に足でレバーを操作できることがわかり、解決しました。

一旦宇宙船を出て、軽食をつまみます。
この間にバックアップクルーがフィットチェックを行います。

彼らが出てくるのを待って、再度私たちがソコル宇宙服を着た状態で乗り込みます。
個人個人にカスタマイズされたソコル宇宙服は、訓練で着用するものよりフィット感があり、着用するのも少し難易度が高めです。
宇宙服のリークチェック(気密性の確認)も行いました。
3人とも、問題なくリークチェックをパス。

今度はすぐに帰還モジュールへ乗り込みますが、これが一苦労です。
めちゃくちゃ狭いです。
居住モジュールと帰還モジュールの間にハッチがあるのですが、帰還モジュールに1人が乗り移ったら、一旦そのハッチを閉めないと、帰還モジュールの中で自分の席に移ることが出来ません。
私が一番先に乗り込むのですが、まず中央のコマンダーの席に座り、ハッチを閉めてからでないと、左席に移ることが出来ないのです。

自分の席に座ると、コマンダーの席にアシスタントの方が降りてきて、座席ベルトの装着を手伝ってくれます。
飛行中は、これらも当然自分でやる必要があります。

最後に乗り込むコマンダーは、全て自分でやらなければいけないので大変そうです。

3人、座席に座り終えたところで、いよいよ通信機器のチェックが始まりました。
ソユーズの操作パネルの電源を入れます。
実機をコントロールするのは、これが初めてです。

実は、この時のために、

「こいつ、動くぞ」

とか

「見せてもらおうか、ソユーズの新型MSの性能とやらを」

と言ったセリフを温めておいたのですが、既にこれまでに皆さんのコメントで散々ネタバレされているので、今更感が半端ありません(´;ω;`)ウゥゥ

とは言え、実際に操作パネルを立ち上げた感覚は、シミュレーターと全く同じで結構味気ないもので、正直拍子抜けでした(笑)
電源Onにしても、特に変わった起動音やライトの点滅などのエフェクトはありません。
家のPCを立ち上げるのと同じ感じです。
その後も、通信機器関連の沢山のコマンドを私が送信しましたが、操作感など全てシミュレーターと同じで特別感は全くありませんでした。

本当にシミュレーターはよく模擬されているなと、改めて思いました。
沖縄の下地島で、初めてボーイング767の実機に乗った時のことを思い出しました。
あの時も、何から何まで、コックピットの目線の高さまで、シミュレーターと同じだと感動したのを覚えています。
訓練の質の高さを感じましたし、逆に訓練というのはそうでなければいけない、とも思いました。

ソユーズの音声通信はVHF電波を使用します。
これも、旅客機と同じです。
音質に関しては、シミュレーターよりほんの少しだけ質が落ちるかなと思いました。
ノイズが乗っているからだと思いますが、聞き取りには全く影響ありません。

通信機器のチェックを終えて、今日のフィットチェックの目的は完了です。
最後に、いくつか気づいた点をアナトーリがエネルギア社の幹部に報告して終了です。
ラベルの表記が紛らわしいといった細かい点ですが、2回目のフィットチェックまでにはそれらも修正されていることでしょう。

長い1日でしたが、バイコヌール滞在前半の大きなイベントが終わりました。
明日からは、少し落ち着いた時間が取れると思います。


(出展:JAXA)
まずはブルースーツで乗り込みます。GCTC撮影。(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
(出展:JAXA)

(出展:JAXA)
使用後の乾燥中のソコル宇宙服と。GCTC撮影。(出展:JAXA)

レーザー測距機の練習。GCTC撮影。(出展:JAXA)

(出展:JAXA)


その2

1回目のフィットチェックから。
追加の写真です。


トマとは、同じレフトシーターということもあって、よく情報交換します(出展:JAXA)
リークチェックで膨らんだ宇宙服(出展:JAXA)

レーザー測距機のセットアップ(出展:JAXA)
遠くの物体との距離を測るので、手ブレが起こらないようにしないといけません(出展:JAXA)

(出展:JAXA)


 
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