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2015年3月20日
今日も星の街は快晴です。
とても気持ちが良い天気が続いています。
午前中はソユーズの手動ドッキング操縦訓練があり、午後にはソユーズのLaunch Escape Systemと着陸システムに関する講義がありました。
Launch Escape Systemというのは、打ち上げ(Launch)時にソユーズロケットに何らかの異常が発生した場合に、宇宙船だけをロケットから切り離して離脱(Escape)させるシステムのことです。
また、着陸システムには帰還時に使用されるパラシュートや、着陸の寸前(対地約1m)で接地の衝撃を和らげるために使用されるスラスターが含まれます。
どちらも、人を安全に宇宙に送り込んで無事に帰還させるための、非常に重要な要素になります。
有人宇宙船を作る上で、避けて通れない関門と言っても良いでしょう。
なぜなら、無人の宇宙船では必要のないシステムだからです。
例えば、打ち上げの直前や直後にロケット自体に不具合が発生した場合、地上からの指令もしくはシステムによる自動探知によって、Launch Escape Systemが作動します。
簡単に言うと、宇宙船が載っているロケットの先端部分だけ、専用の小型ロケットエンジンで切り離して上空に引っ張り上げ、あとは通常の着陸システムを用いてカプセルを地上に帰還させることになります。
過去に実際1度だけ、このシステムが使用されたことがあります。
1983年9月のソユーズロケットの打ち上げ時です。
この時はこのシステムのお陰で、宇宙飛行士は無事に爆発寸前のロケットから脱出することができました。
文章で説明するよりも、映像で観て頂いた方が遥かにわかりやすいので、ご興味のある方は下記のYou tubeビデオをご覧下さい。
このビデオ、私も今日の授業中に観ました。
一通り説明を終えたインストラクターが、やはり「口で説明するより、観てもらった方が良い」というので観たのですが、なんとこのビデオ、ヨーロッパの宇宙機関ESAが作成したソユーズ3部作のうちの第1作目なのです。
このシリーズ確かに良くできていて、私も以前に全て観たことがあったのですが、まさか本場のガガーリン宇宙飛行士訓練センターでも使用されているとは(笑)
例えて言うなら、つくば宇宙センターで実施しているHTVに関する訓練で、「それではここで、NASAが作ってくれた素晴らしいHTVの紹介ビデオを観てみましょう」とやっているようなものです。
いえ、別にそれが悪いというわけではないのですが、ちょっと抵抗があったりしないのかなと思ってみたり。
こういうあっけらかんとしたところがロシアにはあって、「良いものはそのまま使う」という彼らの姿勢は、私はむしろ大好きなのですが(^^;)
3分10秒あたりからが、Launch Escape Systemに関する説明になります。
過去の実例についても取り上げられています。
ナレーションによると、この時クルーが体験した加速度は14~17Gだったとか。
英語ですが、聞き取れなくても映像で十分伝わってくると思うので、ぜひご覧下さい。
さらに興味のある方は、他の2つ(ドッキング編、帰還編)もぜひどうぞ。
実際のソユーズ宇宙船内の映像がふんだんに出てきますよ。
着陸システムについては、また別の機会に取り上げようと思います。
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