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2015年3月 4日
今日の午後は、AREDと呼ばれる筋力トレーニングマシンのメンテナンス訓練と、実際にそれを使用しての体力トレーニングがありました。
このマシンはAdvanced Resistive Exercise Device というのですが(直訳すると進化型抵抗運動機器でしょうか)、NASAでは誰もこの正式名称では呼んでおらず、というか長すぎて覚えられないので、通称ARED(エイレッド)と皆呼んでいます。
スポーツジムに行かれる方はご存知だと思いますが、地上のジムには何種類もの筋力トレーニングマシンがあって、それぞれ1~数箇所の筋肉を鍛えられるようになっています。
AREDのすごいところは、これ1台で何種類ものトレーニングができることです。
言い換えると、色々な箇所の筋肉を鍛えることができるのです。
もう1つ、AREDの大きな特徴として、負荷を作りだす仕組みがあります。
むしろこちらの方が重要かもしれません。
地上のトレーニングマシンの場合、おもりの重さによって負荷を作り出し、おもりの数を変えることによって負荷の量を調整します。
宇宙空間ではこの従来の方法が使えません。
重さがゼロだからです。
その代わりに、AREDではピストンを使用しています。
私などは子供の頃に竹筒の水鉄砲で遊んだ世代なのですが、ご存知の方はあれをイメージして頂けると良いかと思います。
(今もあるのでしょうか??)
水鉄砲の水を全部押し出した状態が、AREDの負荷ゼロの状態になります。
その状態で水鉄砲を水の中に入れて、取っ手を引いていくと、竹筒の中に水が入ってくる仕組みになっていますよね。
ここで、水鉄砲に水が入ってくる穴が塞がっているとどうなるでしょう?
水は入ってこれないのに取っ手が引かれることによって、竹筒の中に真空状態が作り出されます。
その真空状態は、取っ手を引っ張って元の最初の状態に戻そうとします。
それを防ぐ為には、取っ手をそれと同じかそれ以上の力で引き続けてやる必要があります。
AREDが負荷を作りだす仕組みも、これと同じです。
バーを持ち上げたり、ケーブルを引くことによって、ピストンの中に真空状態が発生し、それがバーやケーブルを元の位置に戻そうとして負荷が生じるのです。
今日のメンテナンス訓練では、このピストン内に空気が入り込んでしまった場合にその空気を抜くやり方や(空気が入り込むと真空状態ではなくなるので、負荷が設定より小さくなってしまいます)、磨耗したケーブルやワイヤーの交換方法について学びました。
ISSでの運動は、宇宙飛行士の健康を守る上での非常に大切な要素ですので、AREDに何かトラブルがあってもしっかりと直せるようにしておきたいですね。
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