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JAXAの宇宙飛行士

大西宇宙飛行士のNEEMO日記(第8回)「10月17日:閑話休題」

最終更新日:2011年10月18日

みなさん、海底からこんにちは!
・・・と元気よくご挨拶したかったところなんですが。


実は私はまだキーラーゴのコンドミニアムにいます・・・。

昨日からの大雨。海況も波が高く、荒れている状態です。下の写真はアメリカの国立気象局によるレーダー画像です。色が暗く(青く)なるほど、雲が高い状態を示しています。見るとフロリダ州の南に、非常に高い雲がそびえているのがわかります。これが発達中の低気圧で、大雨をもたらしている原因です。さらに発達を続けると、日本で言う台風クラスの低気圧になる可能性を秘めた厄介なしろものです。


WeatherReport

ミッションの遂行にあたっては安全が何よりも高い優先度を持っているので、ミッションの開始が延期されました。一旦アクエリアスでの滞在を開始すると、クルーはそう簡単に陸に上がってこれないからです。

なぜか?せっかくの機会なので、今日はその理由について書いてみたいと思います(実は急にやることがなくなって、暇を持て余しています)。

アクエリアスは海中約15mに設置された施設です。海の中では、深くなるに従って水圧が高くなっていくので、アクエリアスに滞在するということは2.5気圧という高い圧力の下で生活するということになります(地上は通常約1気圧)。
要するに、上にある15m分の海水の重さが圧力になってかかってくるわけです。

この高い圧力によって私たちの体は様々な影響を受けるわけですが、中でも要注意なのは、空気中に存在する窒素の影響です。呼吸する空気に含まれる窒素は、高い圧力によって体内にどんどん溶け込んでいきます。

「気体が液体に溶ける量は圧力に比例する」(ヘンリーの法則)からです。

ここで炭酸飲料の缶を開ける時をイメージしてみて下さい。缶を開ける前は缶の中は圧力が高く保たれているので、炭酸ガスが液体に溶け込んでいます。それが缶を開けることによって圧力が下がり、溶け込んでいた炭酸ガスがそれ以上溶け込んでいられず、一気に泡になって出てきます。

体内に窒素ガスなどが溶け込んでいる状態で、急浮上する(圧力が急減少する)と、これと同じことが起きます。そうして出来た気泡が血管を詰まらせると、減圧症と言われる様々な症状を引き起こすのです。

一般で言うファンダイビングでは、その危険を減らすために、海中の滞在時間を制限して、また急浮上を避けるようにします。

NEEMOでは海中で何日間も過ごすわけですから、浮上にあたっては急激な圧力の変化を避け、ゆっくりと1気圧に戻していく必要があります。そうやって、徐々に体内に溶け込んだガスを追い出していくのです。今回のNEEMO15では、その作業に実に16時間近くを費やす予定です。その具体的な作業については、またその時にでもご紹介したいと思います。

以上が「クルーがそう簡単に陸に上がってこれない」理由であり、かつまたNEEMOが極限環境ミッションと呼ばれる所以でもあるわけです。

スクーバダイビング訓練

アクエリアス周辺でのスクーバダイビング訓練(提供:NASA)

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