今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1665日経過しました
Medaka Osteoclast実験終了、IMAPとGLIMSの初の観測データ公開
「きぼう」日本実験棟と「きぼう」で行われた実験イメージ(出典:JAXA/NASA)
飼育開始から55日目のメダカの様子(12月19日撮影)(出典:東京工業大学/JAXA)
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、多目的実験ラック(Multi-purpose Small Payload Rack: MSPR)の水棲生物実験装置(Aquatic Habitat: AQH)を使用して実施していた「メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析」(Medaka Osteoclast)実験を12月24日に終了しました。
この実験では、軌道上の微小重力環境でメダカを飼育し、骨代謝を詳細に解析することで、微小重力環境で生じる骨量減少のメカニズムに迫ることを目的としています。今後、実験結果を回収し、地上で詳細な分析を行う予定です。
流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)では、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」(Marangoni Exp/MEIS)実験の第5シリーズを継続しています。
この実験は、地上では重力の影響で観察が難しいマランゴニ対流(水などの液体に生じる表面張力の強さが液体の温度や濃度差で変わることによって発生する流れ)の様子を微小重力環境で詳しく観察し、そのメカニズムを明らかにすることを目的としています。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、ポート共有実験装置(Multi-mission Consolidated Equipment: MCE)に搭載した5種類のミッション機器による実験運用を継続しています。
MCE搭載のミッション機器のうち、地球観測を目的とした「地球超高層大気撮像観測」(IMAP)と「スプライト及び雷放電の高速測光撮像センサ」(GLIMS)において、初めて取得した観測データを公開しました。
観測機器の動作確認およびデータ解析の結果、IMAPおよびGLIMSのいずれも観測機器および観測データの正常性が確認され、今後の観測運用の成果が期待されます。初の観測データに関する詳細はホームページをご覧ください。
そのほか、MCEでは、新技術の実証を目的とした「宇宙インフレータブル構造の宇宙実証」(SIMPLE)と「EVA支援ロボットの実証実験」(REX-J)、民生品ハイビジョンカメラの曝露環境での宇宙実証を目的とした「船外実験プラットフォーム用民生品ハイビジョンビデオカメラシステム」(COTS HDTV-EF)の運用を継続しています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから5150日経過しました
第34次長期滞在クルー
ケビン・フォード(コマンダー、NASA)、オレッグ・ノヴィツキー(ロシア)、エヴゲニー・タレルキン(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は62日、クリス・ハドフィールド(CSA)、トーマス・マーシュバーン(NASA)、ロマン・ロマネンコ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は4日経過しました。
新たなソユーズ宇宙船が到着、ISS第34次長期滞在クルー6名体制へ
ロシアの宇宙飛行管制センターと交信を行う6名体制となった第34次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA/Carla Cioffi)
新たに第34次長期滞在クルーに加わるハドフィールド宇宙飛行士ら3名を乗せたソユーズ宇宙船(33S)は、12月19日午後9時12分にロシアのソユーズロケットにより、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、12月21日午後11時09分に国際宇宙ステーション(ISS)へドッキングしました。
その後、12月22日午前1時37分に33SとISS間のハッチが開かれ、ハドフィールド宇宙飛行士らがISSへ入室しました。フォード宇宙飛行士らは新たなクルーの到着を歓迎し、6名体制でのISS運用を開始しました。
ISS長期滞在を開始したハドフィールド宇宙飛行士らは、科学実験やメンテナンス作業など軌道上での通常の業務を開始するとともに、緊急事態が発生した場合の対応手順や避難経路の確認などISSの安全に関わる説明や、ISS船内の設備の説明など恒例のオリエンテーションを受けました。
【Pick Up】写真で振り返る2012年有人宇宙ニュース & JAXA宇宙飛行士活動レポート最新号のご案内
ISS・きぼうウィークリーニュースは今週号が2012年最後の号となります。1年間ご愛読ありがとうございました。新年最初の号は2013年1月8日(火)発行予定です。2013年も引き続きISS・きぼうウィークリーニュースをよろしくお願いいたします。
JAXA宇宙飛行士活動レポート 2012年11月号を公開しました。本号では星出宇宙飛行士の帰還や大西宇宙飛行士のISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)訓練、野口宇宙飛行士と向井宇宙飛行士の活動についてレポートしています。「新米宇宙飛行士最前線!」では、油井宇宙飛行士が訓練に対する心構えについて、大西宇宙飛行士がSSRMS訓練の模様を実況中継風に、金井宇宙飛行士が潜水医学と船外活動の共通性について、それぞれレポートしています。
また、最新号の公開に合わせ、これまでの「新米宇宙飛行士最前線!」のバックナンバーをまとめて読むことができるページを新設しました。三者三様、興味深い宇宙飛行士訓練のレポートを、この機会に読み返してみてはいかがでしょうか。皆様からのご感想もお待ちしております!