ISS・きぼうウィークリーニュース第425号
2011年3月30日
トピックス
折鶴を搭載し、「こうのとり」2号機がISSを離れる
SSRMSから放出された「こうのとり」2号機(出典:JAXA/NASA)
宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機(HTV2)は、3月28日から29日にかけて、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)によりISSから取り外され、ISSでの約60日間にわたる係留を終了しました。
「こうのとり」2号機には、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で被災された方々へのお見舞いと復興の願いをこめてISS長期滞在クルーがおった折鶴が搭載されています。
今後、ISSの軌道から離脱した「こうのとり」2号機は、3月30日早朝から合計3回の軌道離脱マヌーバを行って減速するとともに徐々に高度を下げていき、大気圏へ再突入して今回のミッションを終了する予定です。
「こうのとり」2号機は、ISSを離れてから大気圏再突入までの間、3月30日午前3時頃に地上から目視で観測することができます。夜明け前のひととき、夜空を飛翔する「こうのとり」2号機を見上げ、搭載された折鶴に思いをはせてはいかがでしょうか。
また、大気圏再突入の実況解説をライブ中継します。「こうのとり」2号機の観測情報やライブ中継の詳細はホームページをご覧ください。
JAXA宇宙飛行士からの震災に関するメッセージを掲載
東北地方太平洋沖地震に関して、JAXA宇宙飛行士および宇宙飛行士候補者からのメッセージを掲載しています。
2011年5月末頃から国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在を開始する古川宇宙飛行士は、震災で被災された方々へ心からお見舞いを述べるとともに、ISS長期滞在中に実施する予定の、東北大学大学院教授の高橋秀幸氏が代表研究者である生命科学実験「植物の重力依存的成長制御を担うオーキシン排出キャリア動態の解析」(CsPINs)に触れ、この実験を完遂することが自分にできる被災地への応援であると決意を語りました。
また、ホームページには、ISS長期滞在クルーが撮影した被災後の東北地方の写真も掲載しています。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1028日経過しました
地震により一時中断していた「きぼう」および「こうのとり」の運用管制再開
JAXAは、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により一時中断していた筑波宇宙センター(TKSC)での「きぼう」日本実験棟および宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の運用管制を、3月22日午後4時から再開しました。
運用再開当日、地上の運用管制チーム(JAXA Flight Control Team: JFCT)とISSクルーによる朝の定例ミーティングで、JFCTの交信担当(J-COM)から「今日から私たちは、通常の24時間体制の運用を再開し、TKSCからコマンドやテレメトリの送受信が再び可能となった。「きぼう」での実験再開を喜ぶとともに、予定通り、3月29日に「こうのとり」2号機をISSから離脱させる準備ができている。軌道上のクルー、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)、および各極の皆さんから素晴らしいサポートを頂いた。JFCTを代表し、このような苦境の中、私たちを助けるための多忙な作業と暖かい心遣いに感謝している」と呼びかけました。これに対し、ISSクルーからは「JFCTの皆さん、こんなに早く、運用管制に復帰できたことを非常に嬉しく思う。今回の震災被害で大変なこととは思うが、再び、元のような素晴らしい状態に戻ってほしい」と労いと激励を込めた返答メッセージが贈られました。
STS-133ミッションの結果
ディスカバリー号は3月10日に着陸し、最後のミッションを終える
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-133ミッション)は3月10日午前1時57分にNASAケネディ宇宙センター(KSC)へ着陸し、12日と19時間4分にわたる最後のミッションを終えました。ディスカバリー号は、合計39回、約365日間にわたる宇宙飛行を完遂し、スペースシャトルミッションから退役します。
KSCの39A射点では、4月中旬に打上げ予定のスペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)の打上げ準備が進められています。STS-134ミッションでは、アルファ磁気スペクトロメータ(Alpha Magnetic Spectrometer: AMS-02)や、エクスプレス補給キャリア3(Express Logistics Carrier 3: ELC-3)などをISSへ運びます。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4513日経過しました
第27次長期滞在クルー
ドミトリー・コンドラティェフ(コマンダー、ロシア)、キャスリン・コールマン(NASA)、パオロ・ネスポリ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は102日経過しました。
24Sは無事着陸、新たなクルーを乗せた26Sは4月5日に打上げ予定
2010年10月から約157日間ISSに滞在していたスコット・ケリー、アレクサンダー・カレリ、オレッグ・スクリポチカ宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船(24S)は、3月16日午後1時27分にISSから分離し、同日午後4時54分にカザフスタン共和国へ無事着陸しました。
第27次長期滞在クルーとなったコンドラティェフ宇宙飛行士らは、新たなクルーが到着するまでの間、3名でISSを運用します。新たに第27次長期滞在クルーに加わるアンドレイ・ボリシェンコ、アレクサンダー・サマクチャイエフ、ロナルド・ギャレン宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船(26S)は、4月5日にカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる予定です。