ISS・きぼうウィークリーニュース第393号
2010年7月27日
トピックス
野口宇宙飛行士がISS長期滞在後初めて日本に帰国、記者会見などを行う
記者会見を行う野口宇宙飛行士(出典:JAXA)
菅総理大臣を表敬訪問した野口宇宙飛行士(出典:JAXA)
6月に国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在を終えて地上に帰還した野口宇宙飛行士が、7月16日、長期滞在後初めて日本に帰国しました。
7月20日、野口宇宙飛行士はJAXAの東京事務所で記者会見を行い、ISSでの長期滞在の様子を紹介した後、記者からの質問に答え、長期滞在中の活動や生活の様子のほか、帰還後のリハビリテーションの状況、今後の活動やISSの意義、地球の美しさなどについて語りました。
リハビリテーションについての質問に、野口宇宙飛行士は、筋肉の量の低下や骨密度はかなり長期滞在前に近いところまで戻った気がすると述べました。また、ストレッチや柔軟体操は微小重力環境では効果がなく、筋肉が硬くなったことを挙げ、筋肉をしなやかに保つことがこれからの課題と感じたと語りました。
7月23日、野口宇宙飛行士は筑波宇宙センターを訪れ、関係者とのデブリーフィング(技術的な報告会)を行いました。また、7月26日から27日にかけては、菅総理大臣など関係各所への表敬訪問を行いました。野口宇宙飛行士は、8月上旬頃まで日本に滞在し、今後、公式飛行記念品の返還、一般向けのミッション報告会などを行う予定です。
インフォメーション
宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターからアンケートご協力のお願い
宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター(ISS・きぼうサイト)では、情報の充実とより分かりやすい発信のため、アンケートを実施しています。ISS・きぼうサイトに対する皆様のご意見をお聞かせください。
アンケート期間は8月8日(日)までとなっております。ご協力よろしくお願いいたします。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から782日経過しました
2次元ナノテンプレート作製実験、船外実験装置による観測運用を継続
冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)では、2次元ナノテンプレート作製実験が引き続き行われています。実験に使用される試料は、「デスティニー」(米国実験棟)のMELFIで10月中旬頃まで実験を続けた後、次に打ち上げられるスペースシャトルで地上に回収される予定です。
2次元ナノテンプレート作製実験では、沈み込みや対流などの影響のない微小重力環境で、ナノレベルの物質を板状のプレート(基板)の表面に規則的に配列させて凹凸(マスクパターン)を作ります。この基板を地上に持ち帰り、化学処理により凹凸を固定化して2次元ナノテンプレートを作製します。2次元ナノテンプレートの凹凸はスタンプの要領で電子材料基板に転写され、半導体素子などが作られます。
宇宙で作製された2次元ナノテンプレートは、地上で作製されたものに比べて欠陥が少なく良質であるため、その2次元ナノテンプレートから作られる半導体素子も良質、すなわち高性能であると考えられます。
半導体素子は、コンピュータや携帯電話など、様々な製品に使用されています。この実験により、それらの製品の高性能化への貢献が期待されます。
そのほか、「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。なお、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)は、観測運用の再開に向けた原因究明・復旧作業が引き続き進められています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4267日経過しました
クルーはロシアの船外活動に向けた準備などを実施
「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)で作業を行うユールチキン宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
第24次長期滞在クルーのISS滞在は、アレクサンダー・スクボルソフ、トレーシー・カードウェル、ミカエル・コニエンコ宇宙飛行士は114日、ダグラス・ウィーロック、フョードル・ユールチキン、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士は39日経過しました。
クルーは科学実験やメンテナンス作業のほか、「デクスター」(特殊目的ロボットアーム)による遠隔電力制御モジュール(Remote Power Controller Module: RPCM)交換の本番前の手順確認、7月27日に行われるロシアの船外活動に向けた準備などを実施しました。
7月21日、デクスターによるRPCM交換の手順確認が行われました。この作業では、デクスターでRPCMを把持してボルトを緩め、RPCMの取外しと再設置を行う計画でしたが、RPCMを取り外す際に予想より大きな力が必要となったため、手順確認は中止されました。また、7月22日に予定されていたRPCM交換も延期されました。今後、原因調査などが行われる予定です。
7月27日の船外活動を担当するユールチキン、コニエンコ両宇宙飛行士は、7月23日、ロシアのオーラン宇宙服を着用し、宇宙服の機能確認などを行いました。今回の船外活動では、ロシアの小型研究モジュール1(Mini-Research Module 1: MRM1)外部の整備作業などが行われます。