今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4295日経過しました
ISSのシステムは全て正常なコンフィギュレーションに復旧
第3回目の船外活動を行うカードウェル、ウィーロック両宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
PMのアンモニア流体配管を接続する様子(出典:JAXA/NASA)
第24次長期滞在クルーのISS滞在は、アレクサンダー・スクボルソフ、トレーシー・カードウェル、ミカエル・コニエンコ宇宙飛行士は142日、ダグラス・ウィーロック、フョードル・ユールチキン、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士は67日経過しました。
クルーは、ISSの外部熱制御システム(External Thermal Control System: ETCS)の復旧作業や、ISSのシステムを正常なコンフィギュレーションに戻す作業などに忙しい日々を過ごしました。
8月16日、ETCSの復旧に向けた第3回目の船外活動が実施され、カードウェル、ウィ―ロック両宇宙飛行士は、予備の新しいポンプモジュール(Pump Module: PM)をS1トラスに設置した後、電力・通信配線やアンモニア流体配管の接続、バルブの解放などの作業を行い、PMの交換作業を完了しました。
船外活動終了後、新しいPMの動作確認が行われ、機能に問題ないことが確認されました。その後、ETCSの動作確認や停止していた機器を起動する作業などが行われ、8月19日にISSのシステムは全て正常なコンフィギュレーションに復旧しました。
8月19日、プログレス補給船(38P)のスラスタを使用したISSのリブースト(軌道上昇)が行われ、ISSの平均軌道高度は約2.3km上昇しました。このリブーストにより、ISSは今後予定されているプログレス補給船(39P)の到着と、ソユーズ宇宙船(22S)の帰還に適した軌道高度に引き上げられました。
39Pの到着に先立ち、8月31日にプログレス補給船(38P)がISSから分離する予定です。分離に向けた準備として、38Pに不要品や廃棄物を搭載する作業が行われています。
39Pは、食料品や飲料水などの補給物資を搭載して、9月8日にロシアのソユーズロケットによりカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、打上げから2日後の9月10日にISSへドッキングする予定です。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から810日経過しました
「きぼう」は通常の運用状態に復旧、実験に向けた準備作業などを実施
ISSのETCS復旧に伴い、「きぼう」日本実験棟では、8月18日、停止していた熱制御システムの低温熱制御ループの復旧作業を行いました。低温熱制御ループ復旧後、遮断していた電源系統の起動、停止していた機器の起動を行い、「きぼう」は通常の運用状態に戻りました。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、8月18日に宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)の再起動を実施し、8月23日から観測を再開しました。また、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)も観測運用の再開に向けた原因究明・復旧作業を開始しました。
8月19日から20日にかけて、「ファセット的セル状結晶成長機構の研究」(FACET)実験に向けた準備として、溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)の機能確認を行いました。この実験は2009年4月から6月にかけて実施しましたが、高精度データ取得のため再実験を行います。
8月24日から27日にかけては、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」の第3シリーズに向けた準備として、流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)の供試体交換作業を行う予定です。この実験は、2008年8月から10月にかけて第1シリーズを、2009年7月から8月にかけて第2シリーズを行い、順調に実験データを取得しました。第3シリーズでは、マランゴニ対流を発生させる液柱のシリコーンオイルの粘度を、前回までとは変えて実験データを取得します。
そのほか、2次元ナノテンプレート作製実験を「デスティニー」(米国実験棟)の冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)で引き続き行っています。
インフォメーション
9月15日(水)京都市にてISS長期滞在ミッション報告会開催、参加者募集
「きぼう」で記念撮影する野口宇宙飛行士らISS第22次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)
JAXAは、野口宇宙飛行士とともに国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在したクルーによるISS長期滞在ミッションの報告会を、9月15日(水)午後6時から、京都市左京区の京都会館第ニホールで開催します。
本報告会では、ISS長期滞在を経験したクルーたちが、ISSで実際に行った活動の様子や、宇宙で見たこと、感じたことなどを、写真や映像を交えながら皆様にご報告いたします。
また、京都大学宇宙総合学研究ユニットとの共催により、パネルディスカッションを行います。パネルディスカッションでは、京都大学宇宙ユニットが行っている将来の宇宙活動に向けた取組みについて、クルーたち宇宙飛行士や専門家と議論するなど、さまざまな角度から有人宇宙活動の現在と未来についてお伝えする予定です。
参加は無料ですが事前申し込みが必要です。プログラムの概要や参加申込みの詳細はホームページをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしています。