ISS・きぼうウィークリーニュース第424号
2011年3月 8日
トピックス
2012年4月を目標に「きぼう」からの小型衛星放出の技術実証を実施
「きぼう」のエアロックからISS船外に搬出される子アームの様子(2010年3月撮影)(出典:JAXA/NASA)
JAXAは、2012年4月を目標として「きぼう」日本実験棟からの小型衛星放出に係る技術実証を行うことを発表しました。
「きぼう」からの小型衛星放出は、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)などの宇宙機で小型衛星を国際宇宙ステーション(ISS)に輸送し、「きぼう」のエアロックからISS船外に搬出して、ISSクルーの操作する「きぼう」のロボットアームにより軌道に投入します。
ISSで唯一「きぼう」だけが持つ小型エアロックとロボットアームの組合せにより、小型衛星の放出機能を提供し、有人運用の特性を活かした「きぼう」利用の拡大を図るとともに、小型衛星ユーザーに対し、多様な打上げ機会を提供することを目的としています。
また、「きぼう」からの小型衛星放出は、小型衛星側にとっても、打上げ振動環境条件が緩和されることや、必要に応じてISSクルーによる放出前の機能確認が可能なことなど、ロケットによる打上げにはない利点があります。
技術実証では、「きぼう」のエアロックとロボットアームによる小型衛星放出機構の技術実証を行うとともに、ロボットアームを使った衛星放出ミッションはISS初の試みであるため、運用手順やプロセスの確立を図ります。
技術実証で放出される小型衛星は、公募により選定されます。詳細はホームページで随時発表する予定です。
インフォメーション
3月18日(金)開催 きぼう利用フォーラム北九州セミナー参加者募集
3月18日午後1時から、北九州市小倉北区のステーションホテル小倉にて、「きぼう利用フォーラム北九州セミナー」を北九州市との共催で開催します。
「ものづくりの街北九州から『きぼう』への挑戦」をテーマに、「きぼう」とものづくりに関する講演やパネルディスカッションを通じて「きぼう」の現状や今後の展開、様々な分野の研究開発に関する情報を知っていただくとともに、九州発の新しい「きぼう」利用ミッション創出に向けた議論を展開します。
セミナーへの参加は無料ですが、事前申込みが必要です。プログラムの詳細や参加申込みについてはホームページをご覧ください。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1006日経過しました
Microbe実験とMyco実験のサンプル採取などを実施
「きぼう」日本実験棟では、3月5日、「国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の身体真菌叢評価」(Myco)実験のサンプル採取を行いました。また、3月6日には「国際宇宙ステーション内における微生物動態に関する研究」(Microbe)実験のサンプル採取を行いました。採取した実験サンプルは、スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-133ミッション)で地上に回収し、詳細な分析を行います。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
勾配炉実験ラック内で発生した通信エラーについて、調査の結果、試料自動交換機構制御装置が原因であることが判明しました。JAXAは、試料自動交換機構制御装置を停止した状態で温度勾配炉(Gradient Heating Furnace: GHF)を運用するため、勾配炉実験ラック内の配線を変更する追加部品(ディスカバリー号に搭載してISSへ輸送済)を勾配炉実験ラックに設置して、今後の動作確認作業と実験を行う予定です。
STS-133ミッションの状況
ISSで実施する全ての作業を終え、ディスカバリー号はISSから分離
ISSから分離したディスカバリー号(出典:JAXA/NASA)
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-133ミッション)で運ばれた恒久型多目的モジュール(Permanent Multipurpose Module: PMM)は、3月2日に「ユニティ」(第1結合部)の地球側(下側)へ結合されました。
なお、PMMの整備作業や搭載品の荷解きを行うため、ミッション期間が当初の予定より2日間延長されました。
ディスカバリー号は、ISSで実施する全ての作業を終え、3月7日午後9時にISSから分離しました。ディスカバリー号は3月10日午前1時57分に地上へ帰還し、ミッションを終える予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4491日経過しました
第26次長期滞在クルー
スコット・ケリー(コマンダー、NASA)、アレクサンダー・カレリ(ロシア)、オレッグ・スクリポチカ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は150日、ドミトリー・コンドラティェフ(ロシア)、キャスリン・コールマン(NASA)、パオロ・ネスポリ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は80日経過しました。
STS-133クルー6名を送り出し、クルーは6名での運用体制に戻る
STS-133クルーとのお別れセレモニーの様子(出典:JAXA/NASA)
第26次長期滞在クルーは、STS-133クルー6名をISSから送り出し、6名での運用体制に戻りました。
宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機(HTV2)は、3月11日に「ハーモニー」(第2結合部)の地球側(下側)に移設される予定です。
ケリー、カレリ、スクリポチカ宇宙飛行士は約5ヶ月にわたるISS長期滞在を終え、3月16日にソユーズ宇宙船(24S)で地上に帰還する予定です。