ISS・きぼうウィークリーニュース第335号
2009年3月31日
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から299日経過しました
Dome Geneの軌道上実験は順調に終了、次はFACET実験を実施予定
軌道上でDome Gene実験の準備を行う若田宇宙飛行士(提供:NASA)
微小重力環境で培養した腎臓細胞(クA輅AXA/ 東京大学)
擬似重力環境で培養した腎臓細胞(クA輅AXA/ 東京大学)
「両生類培養細胞における細胞分化と形態形成の調節(Dome Gene)」の軌道上実験が、3月19日から3月29日にかけて行われ、実験サンプルの培養が順調に行われました。実験サンプルは凍結された後、ISS船内の冷凍・冷蔵庫に保管され、今年の5月以降に打上げが予定されているスペースシャトル・エンデバー号(STS-127ミッション)で地上に回収される予定です。
Dome Gene実験では、アフリカツメガエルの腎臓の細胞を、細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)内の微小重力環境の培養室と、回転テーブルによる擬似重力の発生で地上の重力環境を模擬することが可能な培養室のそれぞれで培養し、からだを形つくる組織形成や遺伝子の働きに重力が与える影響を調べます。このような組織の形成メカニズムの理解が進むことによって、臓器再生への研究がますます拡がることが期待されます。
4月2日には、「きぼう」日本実験棟で次に行われる科学実験「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」の実験に向けて、若田宇宙飛行士が「きぼう」船内実験室の溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)にFACET実験用セルを取り付ける作業を行う予定です。
FACET実験では、対流の生じない微小重力ならではの環境で、結晶が平らな面状(ファセット)に成長する様子を詳細に観察します。結晶成長の過程を解き明かすことで、電子機器や光学部品の材料に多く使われている化合物半導体や酸化物結晶について、より高品質な結晶成長の手法の確立や、材料の製造工程への応用、さらには新しい機能を持った材料を創り出すことへの発展が期待されます。
そのほか、4月初旬には、軌道上遠隔医療の技術検証を目的とした「軌道上における簡易型生体機能モニターの検証」の実験を、若田宇宙飛行士が行う予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3784日経過しました
第19次長期滞在クルーと宇宙旅行者のシモニー氏が到着
第18次、第19次長期滞在クルーとシモニー氏(右下)(提供:NASA)
第18次長期滞在クルーのISS滞在は、マイケル・フィンク、ユーリ・ロンチャコフ両宇宙飛行士は168日、若田光一宇宙飛行士は13日が経過しました。
3月26日午後8時49分、第19次長期滞在クルーのゲナディ・パダルカ、マイケル・バラット両宇宙飛行士と、宇宙旅行者のチャールズ・シモニー氏を乗せたソユーズ宇宙船(18S)が、カザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地からに打ち上げられ、3月28日午後10時05分にISSの「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)へドッキングしました。
18Sミッションでは、第18次/第19次長期滞在クルーの交代が行われます。フィンク、ロンチャコフ両宇宙飛行士は、パダルカ、バラット両宇宙飛行士と長期滞在クルーの引継ぎを行った後、ISSに10日間滞在したシモニー氏とともに、「ザーリャ」(ロシアの基本機能モジュール)にドッキングしているソユーズ宇宙船(17S)で4月7日に帰還する予定です。若田宇宙飛行士は、第19次長期滞在クルーとして引き続きISSに滞在します。
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-119)のミッション結果
STS-119ミッションは終了、次のSTS-127ミッションへ
ディスカバリー号の着陸(提供:NASA)
3月29日午前4時13分、スペースシャトル・ディスカバリー号はNASAケネディ宇宙センター(KSC)に着陸し、12日と19時間30分にわたるミッションを終えました。
今回のミッションでは、太陽電池パドルを搭載したS6トラスがISSへ取り付けられました。また、若田宇宙飛行士が搭乗し、第18次長期滞在クルーとしてISS長期滞在を開始しました。
次のISS組立てミッションとして打上げが予定されているスペースシャトル・エンデバー号(STS-127)では、「きぼう」の船外実験プラットフォームと、曝露実験装置などを搭載した船外パレットがISSへ打ち上げられます。また、ISS長期滞在を終えた若田宇宙飛行士が、エンデバー号に搭乗して地上へ帰還します。
エンデバー号は、今年の5月以降に打ち上げられる予定です。