ISS・きぼうウィークリーニュース第423号
2011年3月 1日
トピックス
古川宇宙飛行士ISS長期滞在訓練プレス公開実施、多くの報道関係者が集まる
宇宙医学実験支援システムの技術検証実験に関する訓練を行う古川宇宙飛行士(右)(出典:JAXA)
記者会見を行う古川宇宙飛行士(出典:JAXA)
2月24日、筑波宇宙センター(TKSC)にて、古川宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在に向けた訓練のプレス公開が行われ、多くの報道関係者が集まりました。ISS長期滞在前の日本での訓練公開は、これが最後の機会でした。
今回の訓練は、宇宙医学実験支援システムを使用して行われました。宇宙医学実験支援システムは、軌道上で取得した医学実験データを軌道上で一元管理し、その解析情報を、軌道上と地上とでモニタできる共通的なプラットフォームシステムです。
古川宇宙飛行士は、宇宙医学実験支援システムの設定作業や、電子聴診器やホルター心電計などの医学機器により取得した医学実験データを宇宙医学実験支援システムに取り込む作業の手順などを手順書(Operations Data File: ODF)に沿って確認し、医師の視点から、システムの操作性やデータインターフェースの信頼性などの利便性について検証しました。
訓練終了後には、記者会見が行われました。記者からの質問に対し、古川宇宙飛行士は、「今まで身につけたものを発揮するチャンスが近づいているので、わくわくする気持ちと、責務の重大さに身が引き締まる思いを同時に感じている」とISS長期滞在に向けた心境を述べ、「宇宙で自分の体がどのように変化するのか興味がある。可能な範囲でTwitterで、医師の目でどう感じるかを紹介したい」と語りました。
ISS「きぼう」利用成果ミニシンポジウム第1回目開催、第2回目参加者募集
2月28日、東京都千代田区の東京国際フォーラムにて、「国際宇宙ステーション『きぼう』日本実験棟利用成果ミニシンポジウム」の第1回目を開催し、多くの参加者でにぎわいました。第1回目のテーマは「宇宙で行われた生命科学実験」でした。
第2回目は、「『きぼう』から見た宇宙、地球」をテーマに、同会場で3月30日午後6時30分から開催します。
参加は無料ですが事前申し込みが必要です。プログラムの概要や参加申込みの詳細はホームページをご覧ください。参加申込み締切りは3月28日です。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から999日経過しました
Biological Rhythms実験やMicrobe実験のサンプル採取などを実施
2月23日から24日にかけて、「長期宇宙飛行時における心臓自律神経活動に関する研究」(Biological Rhythms)の一環として、心電図の記録などを行いました。
2月26日と28日には、「国際宇宙ステーション内における微生物動態に関する研究」(Microbe)実験のサンプル採取を行いました。
3月1日、STS-133ミッションの第1回船外活動で文化・人文社会科学利用パイロットミッション「手に取る宇宙~message in a bottle~」を行いました。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
勾配炉実験ラックの温度勾配炉(Gradient Heating Furnace: GHF)内で発生したGHF制御装置と試料自動交換機構制御装置間の通信エラーについて、原因究明および復旧に向けた作業を引き続き行っています。
STS-133ミッションの状況
ディスカバリー号の打上げ成功、STS-133ミッション開始
ディスカバリー号の打上げ(出典:JAXA/NASA)
スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-133ミッション)は、2月25日午前6時53分にNASAケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられ、2月27日午前4時14分に国際宇宙ステーション(ISS)へドッキングしました。
ディスカバリー号により運搬されたエクスプレス補給キャリア4(Express Logistics Carrier 4: ELC-4)は、2月27日にISS外部のS3トラス地球側(下側)に設置されました。恒久型多目的モジュール(Permanent Multipurpose Module: PMM)は、3月2日に「ユニティ」(第1結合部)の地球側に結合される予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4484日経過しました
第26次長期滞在クルー
スコット・ケリー(NASA)、アレクサンダー・カレリ(ロシア)、オレッグ・スクリポチカ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は143日、ドミトリー・コンドラティェフ(ロシア)、キャスリン・コールマン(NASA)、パオロ・ネスポリ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は73日経過しました。
ATV2とディスカバリー号が到着し、ISSに5種類6機の宇宙機が勢揃い
ISSに勢揃いした宇宙機イメージ(出典:JAXA/NASA)
欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)2号機「ヨハネス・ケプラー」は、2月25日午前0時59分にISSへドッキングしました。
2月27日にはスペースシャトル・ディスカバリー号(STS-133ミッション)がISSへ到着し、ソユーズ宇宙船(24Sおよび25S)、プログレス補給船(41P)、宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機(HTV2)、ATV2の5種類6機の宇宙機が、ISS史上初めて勢揃いしました。
第26次長期滞在クルーはSTS-133クルーを歓迎し、協力して軌道上での作業を開始しました。